どうも、服部(@marketing_factdeal)です。
僕はこれまで十数年かけて、「狭くて深いマーケティング」という考え方を伝えてきました。
たくさんの人に知られることよりも、必要としてくれる人に深く届くこと。客数を増やし続けることよりも、一人のお客さんとの関係を深めること。フォロワーや広告費を増やすことよりも、自分を必要としてくれる人が自然に集まる仕組みをつくること。
この考え自体は、今も変わっていません。ただ、AIが急速に普及し、SNSの仕組みも、人が情報を探す方法も、個人がビジネスをつくる方法も大きく変わった今、これまでの説明だけでは少し足りなくなってきました。
何より、僕自身の目的が変わっています。
以前は、仕事に人生を奪われず、家族との時間や自分の人生を守ることを重視していました。もちろん、それは今も大事です。ただ、今の僕にとって、それは目指すゴールではなく、できていて当たり前の最低条件になっています。
先日、ブログには「答え」を、noteには「現在地」を書くと決めました。そこで今回は、このブログに今後書いていくすべての記事の土台として、「狭くて深いマーケティング」を2026年版に再定義しておこうと思います。
気づいた人もいるかもしれませんが、記事の書き方自体も、このブログでは少し変えていきます。noteとの差別化という意味もありますが、AIを使うところは使い、書き方やリズムに縛られず、内容を重視していくためです。
「狭い」とは、マーケットを小さくすることではない
「狭くて深いマーケティング」と聞くと、多くの人はターゲットを細かく絞ることだと考えます。30代女性、子育て中、地方在住、起業3年以内、といった具合に、属性を細かく設定していく方法ですね。
もちろん、対象を明確にすることは大事です。しかし、ただ対象人数を減らせば、濃いお客さんが集まるわけではありません。需要のない小さな市場を選んでしまえば、そこにいるのは「理想のお客さん」ではなく、単に誰もいないだけです。
僕が考える「狭さ」とは、市場の小ささではありません。自分が責任を持って価値を提供できる範囲を明確にすることです。
誰にでも売ろうとしない。すべての悩みを解決しようとしない。自分と相性の悪い人まで無理に受け入れない。その代わり、自分を必要としてくれる人には、表面的なノウハウだけではなく、その人の状況や価値観まで理解したうえで深く関わる。
つまり「狭い」とは、誰を集めるか以上に、誰と、どこまで関わるかを決めることなんですね。
以前、「狭くて深いマーケティング」に必要な人生経験の豊かさについて書きましたが、狭く深く生きることは、世界を狭めることではありません。自分の中に確固たる価値観をつくり、広い世界の中から、本当に価値のある出会いやチャンスを見つけられる状態をつくることです。
「深い」とは、お客さんを依存させることではない
一人のお客さんとの関係を深めると言うと、高額商品を何度も売ったり、コミュニティやサブスクから離れにくくしたりすることを想像する人もいます。
でも、それは深い関係ではなく、ただの囲い込みです。
お客さんとの関係が深いというのは、相手の悩みや課題を正しく理解し、その人に必要な商品やサービスを、必要なタイミングで提供できることです。必要がなければ売らないし、自分よりも適した人がいれば紹介する。場合によっては、「今は買わない方がいい」と言える。
そうした判断を積み重ねた結果として、「またこの人に相談したい」「他の人にも紹介したい」という信頼が生まれます。
継続率やリピート率、紹介率が高いのは、お客さんを離れにくくしているからではありません。離れる自由がある中で、何度でも選び直してもらえているからです。
これが「深さ」です。
AI時代は、広く浅い情報の価値がさらに下がる
AIによって、一般的な情報やノウハウは一瞬で手に入るようになりました。文章も、デザインも、企画も、分析も、一定水準のものなら誰でも短時間でつくれます。
これは非常に便利ですし、僕自身もAIを使い倒しています。ただ、その結果として、平均的に分かりやすい情報を出すだけでは、専門家として選ばれにくくなりました。
これから価値になるのは、情報を持っていることではありません。
何を問題だと判断するのか。無数にある選択肢から、なぜそれを選ぶのか。どんな人には当てはまり、どんな人には当てはまらないのか。何をやるのかだけではなく、何をやらないのか。失敗したときに、誰が責任を持って軌道修正するのか。
こうした判断には、その人の経験、価値観、人間理解が出ます。AIで文章を量産できる時代だからこそ、「誰が、どんな判断基準で言っているのか」が重要になるんですね。
だから、これからの「狭くて深いマーケティング」は、発信量やフォロワー数を増やすための戦略ではありません。自分の判断基準を明確にし、それを必要としてくれる人に深く伝え、簡単には代替されない関係をつくるための戦略です。
人生を「守る」だけでは、もう足りない
これまで僕は、売上だけを追いかけて、家族との時間や自分の人生を失う働き方に否定的でした。今も、その考えは変わりません。
ただ、「仕事に人生を奪われないこと」をゴールにすると、少し守りに入りすぎるんですよね。
家族との時間を守る。自分の時間を守る。体調を守る。精神的な余裕を守る。もちろん全部大事ですが、守っているだけでは、人生は面白くなりません。
今の僕がビジネスをする目的は、家族や仲間と刺激的な人生を送ることです。面白そうな人に会う。行ったことのない場所へ行く。知らないことを学ぶ。新しい仕事や遊びに挑戦する。突然生まれた好奇心を、仕事やお金や時間を理由にスルーしない。
好奇心には賞味期限があります。
「いつか時間ができたら」「もう少し稼いでから」「今の仕事が落ち着いたら」と後回しにしているうちに、あれだけ面白そうだと思っていたことに、何も感じなくなってしまう。そうやって刺激をスルーし続けると、仕事は順調なのに、本人はどんどんつまらない人間になっていきます。
だから僕が欲しいのは、単なる自由時間ではありません。面白そうだと思った瞬間に、家族や仲間と動ける「人生の可動性」です。
仕事は、その可動性を奪うものではなく、生み出すものでなければならないと思っています。
売上ではなく、4つの指標で事業を見る
以前、収益性と継続性による「4つの成功領域」について書きました。売上の大きさだけではなく、一回の取引でどれだけ利益が残るのか、その利益がどれくらい継続するのかを見る考え方です。
2026年版の「狭くて深いマーケティング」では、そこに「関係の深さ」と「人生の可動性」を加えます。
❶ 収益性:お客さんを増やし続けなくても、十分な利益が残るか
❷ 継続性:毎月ゼロから集客し直さなくても、事業が安定して続くか
❸ 関係の深さ:リピートや継続、紹介が、囲い込みではなく信頼によって生まれているか
❹ 人生の可動性:面白そうなことが現れたときに、お金、時間、仕事の都合を理由に、すべて諦めなくて済むか
売上が増えていても、嫌なお客さんが増え、働く時間が伸び、家族や仲間からの誘いを断り続け、好奇心をスルーしているなら、その事業は成功していません。
逆に、必要としてくれるお客さんに深く価値を提供し、十分な利益が残り、関係が継続し、その事業によって人生の選択肢が増えているなら、売上規模がそこまで大きくなくても、かなり強いビジネスです。
2026年版「狭くて深いマーケティング」の定義
ここまでを踏まえて、現時点での定義をまとめます。
「狭くて深いマーケティング」とは、必要としてくれる少数のお客さんと深い関係を築き、無理のない労働で、十分な利益・継続性・紹介を生み出す事業設計である。その目的は、家族との時間や自分の人生を守ることではない。それを当たり前の土台にしたうえで、家族や仲間と刺激的な人生を送り、生まれた好奇心をスルーせず、やりたいことにすぐ動ける状態をつくることにある。
これは、楽をして小さく稼ごうという話ではありません。必要なときには本気で働くし、面白い仕事であれば時間を忘れて没頭することもあります。
ただし、売上を増やすためだけに、興味のない仕事を増やしたり、相性の悪いお客さんまで受け入れたり、家族や仲間との時間を切り売りしたりはしない。
何に時間を使うのか。誰と関わるのか。どんな仕事を残し、何を捨てるのか。その主導権を自分が持ち続けるために、マーケティングを使います。
あなたの事業は、人生を面白くしているか
もし、自分のビジネスが「狭くて深い」状態になっているか確認したければ、次のことを考えてみてください。
今のお客さん全員と、これからも関わり続けたいと思えるか
新規客を増やさなくても、継続や紹介によって事業が安定するか
売上ではなく、利益と労働時間を把握しているか
特定のSNSや広告が止まっても、自分を必要としてくれる人とつながれるか
最近生まれた好奇心を、仕事を理由にスルーしていないか
家族や仲間から面白そうな誘いが来たとき、すぐ動けるか
最後の二つに何度も「できない」と答えるのであれば、売上以前に、事業設計を見直した方がいいかもしれません。
マーケティングは、商品を売るためだけの技術ではありません。自分が誰と働き、どんな時間を過ごし、どんな人生を送るのかを決めるための技術でもあります。
「狭くて深いマーケティング」は、商売を小さくするための考え方ではありません。
世界を狭くするためでもありません。
仕事に人生を奪われないためのマーケティングから、人生をもっと面白くするためのマーケティングへ。
自分の人生を薄めず、家族や仲間と、より濃く、刺激的に生きるための事業設計。それが、2026年の僕が考える「狭くて深いマーケティング」です。


























