WHY

経営・起業

WHY思考が先行すると、事業がいつまでも始まらない

どうも、服部です(ハットリって誰?)。

新しい事業や発信を始めようとすると、「まずはWHYから考えよう」「なぜそれをやるのかを明確にしよう」と言われます。

いわゆるWHY思考ですね。

もちろん、WHYは大事です。

なぜこの仕事をするのか。なぜ自分がやるのか。何のために売上を作るのか。ここが明確であれば、目先の数字や流行に振り回されにくくなります。

が、まだ何をやるかすら決まっていない人が、最初からWHYばかり掘ると、だいたい話がデカくなりすぎるんですよね。

なぜ働くのか。幸せになるため。自分にとって幸せとは何か。そもそも、なぜ生きるのか。

哲学として考えるのは勝手ですが、それで今日何を作り、誰に見せ、いくらで売るのかが決まるわけではありません。

事業を始めたいのに、人生の意味を探し始める。

そりゃ、始まりません。

新しいことを始めるとき、僕はWHAT、HOW、WHYの順番で考えます。

  1. まず、何をするのか。
  2. 次に、どうやって実現するのか。
  3. その上で、なぜそれを選ぶのか。

WHYを軽く扱うのではなく、何もしていない自分が頭の中だけで作ったWHYより、実際に動き、選び、失敗した後に残ったWHYの方が信用できるということです。

WHY思考を先行させると、他人の人生を借り始める

自分の中に材料がない状態でWHYを考えると、だいたい世の中でよく聞く言葉へ寄っていきます。

家族を大切にしたい。自由に生きたい。挑戦する人を応援したい。好きなことで誰かの役に立ちたい。

どれも立派ですし、別に間違ってはいません。

ただ、それだけでは誰のWHYなのか分からないんですよね。

家族を大切にするために、仕事を減らすのか。仕事の収益性を上げて、家族と面白い経験を増やすのか。子どものために自分の好奇心を諦めるのか、子どもに背中を見せるために挑戦し続けるのか。

同じ「家族を大切にする」でも、何を選び、何を捨てるかによって中身は全然違います。

選択がないWHYは、ただのきれいな言葉です。

しかも、まだ自分の選択をしていない人ほど、成功している誰かのWHYを借りやすいです。「自由」「仲間」「社会貢献」「次世代のため」といった言葉を並べて、本人はまだ何も始めていない。

理念だけ完成して、商品がない。お客さんもいない。売ったこともない。

順番がおかしいんですよ。

最初に決めるのは、今やりたいWHAT

最初から一生をかける仕事を決める必要はありません。

今、何をやりたいのか。誰の、どんな問題が気になるのか。何を見て「それ、違うんじゃないか」と思ったのか。まずは、そこからWHATを決めればいいです。

僕の場合も、最初から「狭くて深いマーケティング」という完成した思想があって、その通りに十数年動いてきたわけではありません。

たくさんのお客さんを集める働き方に違和感があった。相性の悪い人まで受け入れ、売上のために時間を切り売りする働き方がイヤだった。実際の仕事の中で、好きなお客さんと深く関わる方が成果も出るし、自分も楽しいと分かった。

そういった経験が積み重なって、今の考え方になっています。

先にあったのは、完璧なWHYではなく、「こっちはイヤだ」「こっちの方が面白い」というWHATなんですね。

好奇心にも、違和感にも賞味期限があります。

面白そうだと思ったときに動かず、「なぜ自分はこれをやるのか」を何か月も考えているうちに、熱は普通に冷めます。後から立派な理由が見つかっても、もう本人がやりたくなくなっている。

それでは意味がありません。

WHYが見つかるまで動かない人は、慎重なのではなく、動かない理由を高尚にしているだけです。

HOWは、WHATを現実にするためにある

WHATを決めたら、次にHOWを考えます。

誰に見せるのか。最初の商品をどう作るのか。いくらなら買ってもらえるのか。自分一人で提供できるのか。何を計測し、どこで続けるかやめるかを判断するのか。

「好きなことを仕事にする」「AIを使って事業を作る」「コミュニティを始める」と言うだけなら、ただの願望です。

現実の中でどう成立させるかを考え、実際に試すのがHOWなんですね。

ただし、HOWから入るのも違います。

「今はAIが稼げるらしい」「Xを伸ばせば売れるらしい」「サブスクなら安定するらしい」と、方法から事業を選ぶと、その方法が古くなった瞬間に自分も終わります。

何をしたいかは分からないけど、稼ぎ方だけ知りたい。

知らんがなです。

WHATのないHOWは、手段のコレクションでしかありません。新しいノウハウが出るたびに乗り換え続け、結局、自分が何者なのか分からなくなります。

WHYは、最後に「残ったもの」から作る

WHATを決め、HOWを試すと、必ず選択が発生します。

売上は増えるけど、嫌なお客さんも増える。効率はいいけど、自分が面白くない。フォロワーは増えるけど、仕事にはつながらない。家族との時間は守れるけど、守っているだけで人生に刺激がない。

そのとき、どちらを選ぶか。

売上と自由なら、どちらを優先するのか。広く知られることと、少数の人に深く信頼されることなら、どちらを選ぶのか。目の前のお客さんが間違っているとき、機嫌を取るのか、嫌われても伝えるのか。

こういった選択を繰り返すと、自分が何を捨てられて、何だけは捨てられないのかが見えてきます。

それがWHYです。

思想は、机に座って考えた立派な言葉から生まれるのではなく、現場で失敗し、人とぶつかり、損をして、それでも残した判断から生まれます。

なので、WHYは最初に作るスローガンというより、自分がしてきた選択を言葉にしたものなんですね。

実際に何も選んでいないのに、「自分の使命」を言語化しようとしても、そりゃ薄くなります。

生きてないんですから。

WHYは変わってもいい

一度決めたWHYは変えてはいけないと思っている人もいますが、経験が増えれば、目的が変わるのは普通です。

僕も以前は、仕事に人生を奪われず、家族との時間や自分の人生を守ることを重視していましたし、今もそれは大事です。

ただ、今の僕にとって、守れていることはゴールではなく、できていて当たり前の最低条件になりました。

今は、家族や仲間と刺激的な人生を送り、面白そうだと思った瞬間に、お金や時間や仕事を理由にスルーせず動ける状態を作る。そのために事業をしています。

十数年前とWHYが変わったのではなく、実際に動いた結果、次のWHYが見えたということです。

昔の理由へ無理やり自分を縛りつける必要はありません。

変わっていないように見せるために、今の好奇心を殺す方が不自然ですからね。

WHAT、HOW、WHYは一度決めて終わりではない

WHAT、HOW、WHYの順番は、一直線ではありません。

WHATを決める。HOWを試す。WHYが見える。そのWHYを基準に、WHATを変える。新しいHOWを試す。その経験によって、WHYがさらに深くなる。

この繰り返しです。

大事なのは、最初から完璧な理由を作ることではなく、自分の好奇心や違和感を、小さくても現実へ出すことです。

動けば、上手くいかない理由が分かります。誰と仕事をしたいのかも、何をやりたくないのかも分かります。何を失ってでも続けたいのかも見えてきます。

WHYは、その後で十分です。

というか、その後でなければ、自分のWHYにはならないんですよ。

「なぜやるのか」が分からないから動けないのではありません。

動いていないから、「なぜやるのか」がいつまでも自分の言葉にならないだけです。

僕のWHYが今どう変わり、事業の判断へどうつながっているかは、「狭くて深いマーケティング」とは何か(2026年版・再定義)にまとめています。



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