AI

コンサルタントは、効率化ではなく「自分の未熟さを知るため」にAIを活用しよう

どうも、服部です(ハットリって誰?)。

ハットリって誰?

僕の仕事仲間であり、クライアントでもあり、友だちでもある、えみすけ(@emi.nagasaki)が、「聞上手のワークショップ」というものをやっていまして。

ひょんなことから、僕も参加させてもらうことになったんですよ。

超雑に言うと、コミュニケーションスキルの向上のためのワークショップなんですが、僕はコンサルという職業柄、普段からめちゃくちゃ人と話しているので、「コミュニケーションは任せとけや!」と意気揚々と臨んだら、ムズすぎて自己採点30点でした。

いや、シンプルな内容なんですけど、マジで難しかったんですよ(ぜひ「ワイできるで!」っていう人ほど参加してみてください)。

で、そこで改めて、クライアントに対する「聞く力」の重要性を再認識したんですが、同時に思ったのが、コンサルタントって自分の仕事を客観的に見られる機会がほとんどないよな、ということです。

他人の発信を見て、「その導線じゃ売れません」「問題はそこじゃないです」「もっとお客さんの話を聞いた方がいいです」とか言ってるわけですよ。僕も含めて。

にもかかわらず、自分のコンサルに関しては、クライアントから「今日もありがとうございました」と言われて終わりで、お礼を言われたら、なんとなく良いコンサルができた気になるんですよね。

でも、クライアントがその場で納得してくれたことと、適切なアドバイスができたことは別で。

話がうまければ、その場の納得感なんていくらでも作れるし、知識があれば「勉強になりました」とも言ってもらえるし、関係性ができていれば、多少ズレていても「今日のコンサル、ビミョーでした」とは言われません。

この状況に危機感を感じた僕は、その日から、いつもレコーデシングをしているコンサルやミーティングを、終わってからAIに分析させるようにしました。

AIによってコンサルをラクにするためではなく、自分のコンサルを、今までより面倒にし、クライアントに提供できる価値レベルを上げるためです。

AIを使い始めてから、ラクばっかりでめんどくさくなっていないのであれば、それはもう考えるのをやめてるってことです。

AIでコンサルがラクになるとか、ありえない

議事録を作らせる、リサーチをさせる、提案書のたたき台を作らせる、話した内容からタスクを抜き出させる…この辺は全部AIにやらせればいいと思います。

僕もやっていますし、人間がやらなくていい作業をいつまでも手作業でやることに、何の美学も感じません。

ただ、それでラクになるのは「コンサル業務」であって、クライアントとのコンサル(コミュニケーション)そのものではないんですね。

ヒアリングが雑な人がAIで議事録を作ったところで、雑なヒアリングがキレイに保存されるだけでじゃないですか。

的外れなアドバイスをAIに要約させたら、読みやすい的外れが完成します。

提案書が早く作れるようになっても、そもそもの課題設定が間違っていたら、間違った方向へ進むスピードが上がるだけ、みたいな話ですね。

そんなもん、別にありがたくないでしょう。

コンサルタントのAI活用というと、どうしても効率化の話ばかりになります。1時間かかっていた作業が10分になった、これまで月10人しか対応できなかったのが20人になった、みたいな。

もちろん、それを目指している人はそれでいいんですが、僕は少数の好きなお客さんと、狭くて深く仕事をしたいんですね。

であれば、AIで浮いた時間を「もっと多くの人をさばくため」に使うのは完全にズレていて、前回の発言を振り返る、その人の言葉の変化を見る、自分のアドバイスがどう作用したのかを確認する、聞き逃していたことを見つける…といったことに使うべきなんですよ。

同じAI活用でも、人数を増やすために使うのか、一人への理解を深めるために使うのかでは、全然違うということです。

経験が増えるほど、人の話を聞かなくなる

コンサルを長くやっていると、相談の途中でだいたい答えが見えるようになります。「あぁ、このパターンね」と。

経験があるからこそ分かることもありますし、実際、それで当たることも多いです。

ただ、当たる経験を重ねると、だんだん相手の話を最後まで聞かなくなるんですね。目の前の人を見ているつもりで、過去にいた似た人を見ているわけです。

相手の言葉を聞いているつもりで、自分が持っている成功パターンと照合しているだけになるんですね。で、ちょっと似ているだけなのに、同じ箱へ放り込むと。

これって、経験による、いわゆる「誤学習」です。

初心者のコンサルは知識が足りないので不安ですが、経験者は自信がある分、間違えたときが厄介です。

本人の中では筋が通っているし、過去に同じアドバイスで成果が出た実績もあるので、自分が決めつけていることに気づきにくいんですよ。

たとえば、売上が伸びないという相談を受けたとき、発信量が少ないからだと判断し、過去のクライアントは発信量を増やして伸びた、じゃぁ今回も毎日投稿しましょう、とか言うんです。

でも、その人は発信量が少ないんじゃなくて、そもそも誰に何を売るのかが曖昧かもしれないし、商品に自信がないのかもしれないし、家族との時間を削ってまで売上を増やしたいと思っていないのかもしれません。

あるいは、本人は「売上を増やしたい」と言っていても、本当に欲しいのは売上ではなく、今の不安を消すことかもしれません。

そこを聞かずに「発信量を増やしましょう」と言うのは、正論ではあっても、その人に対する答えではありません。

僕は「寄り添うのは気持ちではなく、課題」だとずっと言っていますが、課題に寄り添うためには、その人を理解しないと無理なんですね。

つらかったですね、大変でしたね、と一緒にしんどそうな顔をすることが寄り添うことではないんですが、でもこちらの正解を押しつけることはもっと違うわけです。

相手が何を言ったかだけではなく、なぜその言葉を使ったのか。
事実と本人の解釈がどこで混ざっているのか。
本人が問題だと思っていることと、実際に止まっている原因は同じなのか。
そもそも、こちらが解決しようとしていることを本人も本当に望んでいるのか。

聞くというのは、黙って相槌を打つことではなく、相手を自分の得意な答えへ誘導しないことなんですが、これがやってみるとクソ難しくて(だから自己採点30点だった)。

コンサルやミーティングをAIに分析させる方法

じゃぁ、具体的にどうやってAIに分析(採点)させるのかということなんですが、やり方自体は難しくありません。

クライアントに説明して了承をもらった上で、コンサルやミーティングを録音・録画し、音声を文字起こしして、過去の議事録やクライアントに関する情報と一緒にAIへ読み込ませ、自分のコンサルを採点させます。

ただ、今回の文字起こしだけを貼って、「このコンサルどうでしたか?」と聞いても、たぶん役に立ちません。

おそらく「相談者に寄り添いながら、具体的な提案ができていました」みたいな、どうでもいい感想が返ってくるだけなので。

AIがアホというより、聞き方が雑なんです。何をもって良いコンサルとするのか、その基準を渡していないので、当たり障りのない感想しか返しようがないんですね。

僕は、今回の文字起こしだけではなく、これまでのミーティングの議事録、クライアントの目標、現状、性格、価値観、強みと弱み、使える時間やお金、これまで提案したこと、実際にやったこと、その結果まで、分かる範囲で読み込ませています。

なぜなら、一回のミーティングだけ切り取っても、コンサルの良し悪しなんて判断できないからです。

今回のアドバイスだけ見れば正しくても、前回と言っていることが変わっているかもしれないし、クライアントが何度も同じところで止まっているのに、こちらも毎回同じアドバイスをしているだけかもしれません。

あるいは、前回決めたことをやっていない理由も聞かず、また新しい施策を追加しているかもしれません。

それって、コンサルしているんじゃなくて、思いついた宿題を増やしているだけで。

一回の面談で気の利いたことを言えたかではなく、何回かのやり取りを通して相手がどう変わったのか、こちらのアドバイスが相手の行動や成果にどう影響したのか、そこまで見ないと、ただ「今日もいい話をした」で終わります。

AIに何を採点させるのか

僕が見たいのは、話し方がうまかったか、感じが良かったかではありません。そんなものは接客アンケートでやればいいので。

確認したいのは、だいたいこの辺です。

本人が訴えていることを、そのまま問題だと決めつけていないか
必要なところを深掘りせず、こちらの解釈で話を進めていないか
相手の話を遮ったり、答えを誘導したりしていないか
事実と、相手や自分の解釈を分けられているか
その人の目標、価値観、生活、使える時間やお金を踏まえた提案になっているか
一般論や自分の成功体験を、そのまま当てはめていないか
やることを増やすだけでなく、今やらないことも決められているか
相手から考える機会を奪い、答えだけを渡していないか
次に何をするのか、いつまでにやるのかが曖昧なまま終わっていないか
過去のアドバイスと矛盾していないか、同じ話を繰り返していないか

特に見た方がいいのは、「正しいことを言ったか」ではなく、「今のこの人に必要なことを言ったか」です。

毎日発信しましょう、数字を見ましょう、お客さんに聞きましょう、商品を絞りましょう、価格を上げましょう…みたいな正論なんて、今はAIでもいくらでも出せますからね。

コンサルタントの仕事は、正論を納品することではありません。

なぜ、この人はそれができていないのか。能力が足りないのか、怖いのか、他に優先したいことがあるのか、そもそも本人が望んでいないのか、やることを足す前に、何をやめれば動けるのか、そこを一緒に見つけるのが仕事です。

正しいけど実行されないアドバイスを毎月渡して、「行動しないクライアントが悪い」で済ませるなら、コンサルなんていらんのですよ。ChatGPTに正論を出してもらう方が安いので。

実際に使っているコンサル分析用の指示文

AIには、褒めなくていいこと、判断の根拠を示すこと、分からないことを勝手に補完しないことを先に伝えます(AIは放っておくと、こちらに気を遣って無難にまとめるので)。

以下は、そのままコピペして使える形にしているので、必要に応じて、仕事内容やクライアントとの関係に合わせて評価項目を足してください。

あなたは、コンサルティングの品質を監査する第三者です。
コンサルタントを褒めることも、相談者を慰めることも目的ではありません。
今回の対話が、相談者の課題解決と主体的な行動につながるものだったかを厳しく評価してください。

今回の文字起こしだけで判断せず、以下の情報を踏まえてください。
– 過去のミーティング議事録
– 相談者の目標、現状、価値観、強み、弱み、使える時間や予算などの制約
– これまでの提案と決定事項
– 実際に行動したこと、行動しなかったこと、その結果

評価するときは、次のルールを守ってください。
– 事実と推測を分ける
– 評価の根拠になった発言を示す
– 情報が足りないものは、勝手に補完せず「判断できない」とする
– 会話の印象ではなく、課題の特定、助言の妥当性、行動への接続で評価する
– 人格ではなく、発言、質問、判断、面談の設計を評価する

次の項目を分析してください。
1.コンサルタントは、相談者の課題を正しく特定できていたか
2.聞くべきことを聞き、必要な深掘りができていたか
3.決めつけ、誘導、話の遮り、都合のいい解釈はなかったか
4.事実と、相談者・コンサルタント双方の解釈を分けられていたか
5.相談者固有の目標、価値観、強み、弱み、制約を踏まえた助言だったか
6.一般論やコンサルタント自身の成功体験を押しつけていなかったか
7.やることを増やすだけでなく、優先順位と「やらないこと」を決められたか
8.答えを渡しすぎず、相談者自身が考えて判断できる対話になっていたか
9.次の行動が、担当、期限、判断基準まで具体的になっていたか
10.過去の助言との矛盾や、何度も繰り返している無意味な助言はなかったか

以下の順番で出力してください。
1.今回の対話の要約
2.各項目の10点満点評価と、その根拠
3.良かった点
4.問題があった点
5.本来聞くべきだったのに、聞けていない質問
6.妥当な助言、根拠の弱い助言、危険な助言
7.コンサルタントに繰り返し見られる癖
8.相談者に起きている変化と、止まっている原因
9.次回の面談で修正することを、重要度順に3つ
10.次回、最初に確認すべき質問を5つ

最後に今回のコンサルを100点満点で採点し、「この面談によって、相談者が実際に前へ進む可能性が高まったか」という観点から、遠慮なく講評してください。

もちろん、これを一回やって「なるほど、勉強になりました」で終わったら意味ありません、

次のコンサルで、指摘された癖を1つか2つだけ意識し、また記録して、前回より改善したかを見てもらいます。

プロンプトを保存しただけで、仕事がうまくなるわけではないですからね。ダイエット動画を保存して痩せた気になるのと一緒です。

AIの採点も、普通に間違います

ここまでAIに採点させろと書いておいてあれですが、AIの評価を正解だと思わないでください。

声のトーン、沈黙の意味、二人の関係性、その場の空気、あえて今は言わなかったことなど、文字起こしだけでは分からないことはいくらでもあります。

冗談を本気で受け取ることもありますし、情報が足りなければ、もっともらしい見当違いも言うので、動画も読み込んでもらうのがいいですね。

なので、AIにコンサルの良し悪しを決めてもらうわけではなく、自分一人では見えない可能性を出してもらうんです。

もし「話しすぎている」と言われたら、本当にそうだったのかを見直すし、「助言が一般的だ」と言われたら、その人にしか当てはまらない情報をどれだけ聞けていたか確認するし、「次の行動が曖昧」と言われたら、次回の終わり方を変えるということです。

AIの指摘を全部鵜呑みにするのも違いますが、気に入らない指摘だけ「AIには分からない」で片づけるのも違います。

後者、たぶん普通にやりますからね。人は自分に都合の悪いことを言われたときだけ、急にAIに対して厳しくなるので。

僕がやっているのは、AIに判断を渡すのではなく、判断材料を増やすことだけです。

録音と顧客情報を雑に扱う人は、これをやらない方がいい

当然ですが、クライアントとのコンサルを勝手に録音し、そのまま何も考えず外部のAIサービスへ放り込んでいいわけではありません。

個人情報保護委員会のFAQでは、通話内容から特定の個人を識別できる場合、その内容は個人情報に該当するとされています。

法律上、録音していることを相手へ伝える義務まではないとされていますが、コンサルは法律の最低ラインだけ守ればいい商売ではありません。

なので、録音すること、振り返りと品質向上のためにAIで分析すること、どう保管していつ削除するのかを先に説明し、了承を取った方がいいです。

氏名や会社名など分析にいらない情報は外すこともそうだし、利用するAIサービスが入力データを学習に使うのか、どれくらい保持するのかも確認します(機密性が高い情報は、そもそも外部のAIへ入れない)。

個人情報保護委員会も、個人データを生成AIへ入力する際は、利用目的の範囲内か、サービス提供者が入力情報を学習など別の目的で扱わないか確認するよう注意喚起しています。

便利だから、みんな使っているから、たぶん大丈夫みたいな、この程度の判断で顧客情報を扱う人が、他人の商売に口を出すのはさすがに怖いので、ここはちゃんとしましょう。

人にダメ出しするなら、自分も毎回ダメ出しされとけ

AIを使えば、議事録は早く作れます。資料も提案書も、それっぽいものなら一瞬です。一般的なアドバイスも、かなり出せるようになりました。

だからこそ、コンサルタントが「知識を持っている人」だけで済んだ時代は終わっていき、残るのは、「誰に何を言うかを判断できる人」です。

一般的には正しくても、この人には何が合わないのか、今は背中を押すべきなのか、止めるべきなのか、やることを増やすのか、むしろ全部やめさせるのか、その判断は、相手のことをどれだけ深く見ているかで変わります。

で、その判断が正しかったかを、自分自身であとから見直せるかどうかです。

コンサルタントは他人の課題を見つけ、改善を求める仕事であり、だからこそ、自分の仕事だけ無傷でいようとするのはおかしいでしょう。

聞けていなかったこと、勝手に決めつけていたこと、正論を言って気持ちよくなっていたこと、相手のためと言いながら、自分の得意な型へ押し込んでいたこと…レコーディングを見返すと、普通に出てきます。

めちゃくちゃ凹むんですが、お金をもらって他人の商売や人生に口を出すのであれば、そのくらいはやれよっていう話です。

たぶん多くの人は、AIをラクするためには使い、自分の未熟さを見るためには、あまり使いません。僕も30点を食らわなかったら、ここまで真面目に見直してなかったかもしれませんし。

人のコンサルをする前に、AIに自分のコンサルも毎回コンサルしてもらいましょう。


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