親ガチャ

マーケティング

親ガチャ問題はマーケティングで解決する

最近何かと話題の「親ガチャ」について、マーケティング目線で書いていきたいと思います。

もともと音声コンテンツ「stand.fm」でしゃべった内容を文字起こし&追記したものなので、テキストを読むより音声を聴くの方が好きだという人はそちらでもどうぞ。

そもそも親ガチャとは何なのかという話なんですが、オンラインゲームのガチャになぞらえていて、僕らの世代であれば「ガチャガチャ」ですね。

お金入れてレバーを回すと丸いカプセルが出てくるアレです。

要は、何が出てくるかわからないギャンブルゲームで、必ずしも自分の欲しいものが出てこない、当たり外れがあるという話で。
 

で、親ガチャというのは、どんな親が出てくるかわからない、つまり親は選べなくてハズレの親に当たると人生絶望だという、言ってしまえば自分の人生が上手くいかないことを親のせいにして不幸な自分を納得させるみたいな話ですね。

一般的に言われているのは、親の教育方針や価値観ではなく、経済力や容姿、IQ(頭の良さ)運動能力などに関する当たりかハズレかということのようですね。

もっと親がお金持ちなら、もっと容姿が良ければ、もっと頭が良ければワイの人生はもっと良くなっていたはずだ

といったような、ネガティブ思考というか、他責思考というか。

親ガチャは反出生主義に通ずる

親ガチャというのは、突き詰めると「こんなことなら生まれてこなければよかった」ということにもなるんで、反出生主義の思想にもつながるんですよね。

ちなみに、反出生主義というのは、人は生まれてこなければ苦しみを味わうことはないという思想で、この中で「ロシアンルーレット論」という親ガチャと似たようなワードがあります。

この反出生主義がどんな思想を主張しているのかというと、子どもが欲しいというのは親のエゴでしかなく、そもそも「生まれてくる前の子どもから同意が得られていない」とか「子どもが幸せになる保証がない」みたいな極端と言えば極端な内容です。

であれば、人はそもそも生まれてこなければ、まだ生まれてきてない人が不幸になる可能性をゼロにできるだろうと。

いやまぁ、確かにそうなんですけどねっていう。
 

で、別にこれは自殺とかを推奨する話ではなくて、これまで培ってきた叡智や歴史、文化が台無しになるけど、苦しむ人がゼロになるのであれば、今後、人類は滅亡した方が良いんじゃないかという話ですね。

僕もこの動画で反出生主義の思想を知ったんですが、もし興味があれば調べてみてください。

 
動画のコメント欄とかみていると面白いですよね。

例えば、障害はハズレなのか

話を戻しますが、親ガチャについて僕が思うのは、そもそも親が虐待をするとか、子どもを殺すとかいうことも現実としてあるわけなので「どんな親から生まれようがその環境の中で精一杯い生きろ」みたいなことを言うつもりはないです。

海外にも目を向ければ、親ガチャどころか国ガチャで大ハズレを引いたばかりに、満足に教育を受けられない子どもや長く生きられない子どももたくさんいますしね。

なので、そういった環境で生まれた子どもが守られるような社会の仕組みは必要だと思います。

そういった親から逃れられる環境というかシェルターというか、そういうインフラというのは当然必要だと思っています。
 

ただ、そこから生き延びられたあとの人生というのは、めちゃくちゃ壮絶かもしれないですけど、自分でなんとかしていくしかないわけです。

そうなったとき、言い方は悪いかもしれませんが、マーケティングやセルフブランディングにおいて壮絶な経験や不幸な経験というのは大きな武器になるんですよね。

不幸からの脱却は、求心力にもなるしお金にもなるわけでして、それが良いか悪いかは置いておいて、マーケティング戦略の一環として実際にあるわけなので。
 

極論ですけど、今僕は障害者の支援に携わるビジネスもしてるんですが、重度の精神障害となると、とてもじゃないですけど一人で生きていくことは困難で、誰かに助けられてやっと生きていけるという人がほとんどです。

が、大抵の(軽度の)場合は障害は強力な武器になるんですよね。

まぁよく言われる「障害は個性」と言うのは僕は違和感を覚えますが、工夫次第で個性とか強みに変えることはできると思っています。

それを求める人がいること、ニーズがあることが前提にはなりますが。
 

例えば、健常者でただ単に書道が上手い人と、“ダウン症なのに”書道が上手い人であれば、人はどちらに惹きつけられるかっていう話なんですね。

最近でいうとパラリンピックとかもそうじゃないですか。

 
金澤さんには僕も実際に会いにいったことがあるんですが、やっぱり苦難というストーリーがあるからこそ、その姿を見て感動や勇気をもらえる人がいるからビジネスが成り立つわけです。

なので、不幸な生い立ちとか経験というのは、上手く編集・加工すれば強みになるんですね。
 

もちろん、賛否はありますよ。

24時間テレビに代表されるように、見せ物にするなとか感動ポルノはもうウンザリだとか。

ただ、どんなハンディキャップを背負っていても、いずれは親もいなくなるし、他者の力を借りつつ一人で生きていかなくてはならないので、キレイゴトは言ってられないですよね。

親としては、見せ物だと言われようが、感動ポルノだと言われようが、求心力を持たせて露出させること、つまりマーケティングをしていかなければならないということですね。

苦悩するエリート

最初にも言ったんですが、親ガチャというのはゲームになぞらえてるわけなんですが、ゲームにしても、漫画にしても、アニメにしても、そういった世界の主人公とかカッコイイサブキャラというのは、ほぼほぼ不幸な生い立ちなんですよね。

鬼滅の刃の炭治郎にしてもそうですし、ドラゴンボールの孫悟空にしてもそう(ワンピースは読んでないのでちょっとわからないので誰か捕捉してくださいw)

みんなレールがないどころか道すらなくて、道なき道を自分で切り開いて、最後は仲間と共に勝利を掴むという、いわゆる「ハズレガチャ」からの逆転ストーリーなわけです。
 

温室育ちでイケてるキャラってあんまりいないですよね。

もちろん、そういった富裕層キャラがストーリーのスパイスになってたりはするので、ダサいけどどこか憎めない魅力はあるんですが。

ただまぁ、ドラゴンボールのベジータやミスターサタンとかがそうだと思うんですが、エリートほど「ぐぐ…こんなはずじゃないのに…」みたいに苦悩します。
 

これって現実世界でもそうで、やはりハズレガチャから這い上がってきた人の方がメンタルは圧倒的に強いですし、サバイバル能力もハンパないわけです。

毎日を必死に生きているだけで、知らず知らずのうちの戦闘力が上がっていっているわけですから当然と言えば当然なんですが。
 

逆に親や社会に寄って引かれたレールの上に乗っかって生きてきた、いわゆる「当たりガチャ」と言われる人の方が、一定の年齢に達したとき、大体が社会に出てからだと思うんですが、やはり苦労しますし病む人も多いですよ。

今まで言われたことだけをやっていれば、経済的にも精神的にも満たされていた人が、いきなり自立や個性を求められるわけですから。

ただ、人はそんなに急には自立できないですし、オリジナリティなんて生み出せないわけです。

で、ハズレガチャ出身の人のように、ただ必死に生きていた軌跡が人を惹きつける、つまり語ることができる経験がないので「自分は何者でもない」とさらに苦しむんですよね。
 

その末路の一つとして、TwitterなどのSNSでフォロワーを集めて何者かになろうとするみたいなところがありますよね。

でも、そのほとんどの人がやはり誰かの手法をなぞえるという、新たなレールにまた乗っかってしまうという、負のスパイラルに巻き込まれていき、最終的に疲弊して消えていくというパターンがほとんどで。

語れる経験がないから、インフルエンサーの強い言葉や汚い言葉を真似したり、小賢しい誘導テクニックを真似したりといったことしかすることがないわけです。

今まで波風立てずにノホホンと生きてきた人が、そんな小手先のテクニックで人生を変えようとすること自体に無理があるんですよね。
 

裕福な人やエリートだった人が何者かになるには、今までしてこなかったこと選択したり、獣道を経験したり、新いスキルを積み重ねていかないといけないわけです。

そうやってはじめて「今まで何の不自由もなく生きてきたけど…」という新いストーリーができて人を惹きつけることができるということです。

親ガチャよりも国ガチャに目を向ける

ということで、親ガチャにかかわらず、上司ガチャとか、部下ガチャ(新人ガチャ?)とか、自分の環境がハズレだと思っているのであれば、むしろそれは最高に恵まれた環境、オイシイ境遇だと思った方が良いですね。

格差社会だと言われますが、世界を見れば日本の格差なんてちゃんちゃらおかしくなりますよ。

例えば、インドではカーストは法的には廃止されたとはいえ、結婚や仕事においてその影響はまだ強く残っていて、低カーストに生まれたらその状況を引っくり返すのはほぼほぼ無理です。

その点、日本の格差なんて後天的にいくらでもひっくり返せますからね。
 

僕の実家も、とてもじゃないですが裕福と呼べるレベルではなく、親は共働きでしたし最終的には離婚もしました。

それでも、親の価値観を押しつけられるようなことは一度もなく、むしろ自由に生きることを許してくれていたので、今では好きな人と仕事をし、そこそこ稼いで、家族との時間も存分に確保できる日々を送ることができるようになりました。
 

確かに、後天的なアクションで収入を一気に増やせるという環境は格差を生みますが、それは当然ことで、情熱を持ってスキルを磨きながら仕事に取り組む人と、鼻をほじりながら親のスネをかじっているフリーターが似たような収入だとしたらその方が問題でしょう。

インドのように先天的な理由で、収入環境が制限されるのは好ましくないですが、幸い日本は個人のアクションでいくらでも環境を変えられるわけです。

東大生の親の収入を取り上げて、格差拡大を謳う学者や評論家もいますが、それはあくまで親と途中段階の子どものデータであって、別に東大行ったからといってその後の人生の質が上がるわけじゃありません。

むしろ、経験者としては、お金持ちの家に生まれて横ばいの人生を送るより底から上がっていく方が圧倒的に面白いと思います。

日本に生まれたという先天的に有利な「国ガチャ」をフルに生かすべきですね。

子を持つ親として

親の立場としてもそうです。

あまりいないと思いますが、もし子どもに対して「ハズレ」だと思っているなら、それは子どもはもちろん親である自分自身の武器になります。

シングルマザーでバリバリ働いている人や、障害を持つ子どもを育てている親はやはり魅力的ですしパワーももらえます。

やはりそのことを知ってもらうために発信することが大事で、僕がそういった人たちを知っているということは、親がしっかりとマーケティングしているということです。

さすがに旦那ガチャとか嫁ガチャとかは、本来、自分で選択できるものなのでそれは知りませんし、厳密に言うと上司や部下も選べるんですけどね、自分次第で。
 

まぁ、当たりが出るまでガチャを引き続けるより、自分でガチャを作る人になる方が早いということです。

ガチャを引かなくて済む人生、そんなギャンブル人生よりもほとんどのことは自分で選べる人生を目指した方が良いですよね。

どんなガチャの結果であろうが全ては自分次第だ、がんばろうと思える社会や政治とかは確かに必要だとは思うんですが、今の時代、そんな日が来るのをを待ってたらすぐに人生終わりますからね。
 

とりあえず僕は、息子たちに「親ガチャハズレや〜人生オワタ〜」と言われないように、そこは親の責任としてがんばっていきたいと思います。

親のエゴで一人の人間を人生をスタートさせてしまったという責任はあると思うので。

Twitterの反応は?

センシティブなテーマにもかかわらず自分の経験や考えをコメントしてくれた人たちに感謝



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