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「生きているだけで価値がある」という思考停止メッセージの先にある闇

こんにちは、服部(@marketing_factdeal)です。

世の中には数え切れないほどのモノが溢れていて、どれも魅力的に見えるわけですが、本当に価値があるのはそのモノ自体かというと、実はそうではなくて。

マーケティング的に言えば、価値があるのはモノではなく「コト」なわけです。

価値があるのはベネフィット、つまりそのモノがもたらす体験やそれを通じて得られる幸せや満足感といったコトなんですよね。
 

で、この考え方というのは、人間の価値にもそのまま当てはまると言えます。

有名なポジティブメッセージで、「生きているだけで価値がある」「生きてるだけで丸儲け」といったものがありますが、これは少し危険な思考停止メッセージでして。

生きていることや生きている人自体に価値があるのではなく、その人が誰かに幸せをもたらすことで、価値が生まれるからです。

商品の価値は体験にある

マーケティングの浸透によって、かなり前から「モノ売り」から「コト売り」という考え方が広がっています。

商品の機能や性能だけで勝負するのではなく、お客さんがその商品を手にしたとき、どんな体験を得られるかに焦点を当てるということですね。

たとえば、高級ホテルの滞在を考えた場合、豪華なベッドや高級な料理、美しい景色だけではなく、心地良いサービスや特別なひとときを楽しむことで「贅沢な時間を過ごした」という体験が価値となるわけです。
 

一方で、日常的な商品であってもその体験は重要で。

たとえば、お気に入りのカフェで飲むコーヒーですが、それ自体は市販で売っている豆と同じかもしれませんが、特別な空間で誰かと共有する時間や、ホッと一息つく瞬間がそのコーヒーに価値をもたらすわけですよね。

人における価値の捉え方

この考え方は人間の価値においても同じだと言えます。

僕たち自身が単独で存在しているだけでは、特別な価値を持つことは少ないかもしれませんが、人と関わり、その相手に喜びや感動をもたらすとき、僕たちの存在は輝き、価値を発揮します。

愛情を注ぐことで相手に温もりを感じさせたり、励ましによって困難を乗り越える力を与えたり、笑顔で元気を与えたり。

こうした行為の中にこそ、人間の価値が見出されるということです。
 

極論(でもないですが)、特別なスキルや能力がなくても、一緒にいることで幸せを感じさせる存在もありますよね。

家族や友人と過ごす時間の中で、何かをしてもらわなくても、ただそばにいてくれることで安心感を得られることもありますし、それ自体が大きな価値であり、他の何ものにも代えがたいものだったりするわけです。

「生きているだけで価値がある」への疑問

一方で、「生きているだけで価値がある」「生きてるだけで丸儲け」というフレーズには、個人的に疑問を抱いています。

もちろん、すべての命に価値があり、尊いことに異論はありませんが、それだけで自分自身の本当の価値を感じるのは難しいんですよね。

人は他者との関わりを通じて自分の存在意義を見出し、周囲に何かしらの良い影響を与えることで自分自身の価値を実感する、つまり、自分が誰かを幸せにすることで初めて自分の価値を感じられるからです。
 

なので、他者との関わりを避け、自ら進んで孤独を選ぶ人が、自分には価値がないと嘆くのは、至極当然なことでもあるということですね。

もちろん、自分の価値は自分で決め、生涯孤独に生きていくというのであれば、それはれば良いんですが、社会の一員として生きていく以上、他者からの評価は避けられません。

他者との関わりを持たず自ら決めた価値というのは、社会から受ける評価とのギャップによって、いずれ幻となって消えていくんです。

他者に価値を提供することが人間の本質

かといって難しく考える必要はなくて、他者に価値を提供することは、僕たちが日々の生活で自然に行っている行為です。

家族との会話、友人の支え、仕事でのやり取り。それぞれのシーンで、私たちは相手に何かしらの良い影響を与えていますよね。

これは最も根源的な価値の提供であり、何も特別な能力やスキルを持つ必要はありませんし、相手のそばにいること、一緒に笑い合うこと、支えることがその人にとっての価値になることは往々にしてあります。
 

ただ、だからと言って「生きているだけで価値がある」という考えを鵜呑みにするのは、自分を孤独に追いやっていくというリスクを孕みます。

なぜなら僕たちは、自分自身が他者との関わりを通じて、価値を見出すことで自分の存在意義を感じるからです。

自己満足にとどまらず、他人に影響を与えることで初めて自分が役に立つと実感できるので、いわば「誰かのために生きているだけで価値がある」というのが正しいんじゃないですかね。

能力ではなく「存在そのもの」の価値に立ち返る

もちろん、能力やスキルを発揮して他人を支える場面もありますし、他人ができないことができることによって、いわゆる市場価値は高まっていきます。

しかし、それだけにこだわらず、そばにいて価値を感じてもらえる存在であることも重要です。

ビジネスにおいても、商品やサービスがもたらす体験の価値の先に、「販売者との精神的なつながり」という価値があるように、人との関係性が築かれる場面で「ただ存在していること」が価値を生む瞬間があるんですね。
 

この点においては、ビジネスと人間では違うのかもしれません。

人間関係の場合、最初はただ一緒にいるだけで良くて、でももっとその人の役に立ちたいと思い、能力やスキルを身につけていくという流れが自然ですよね。

一方、ビジネスも場合は、まずは商品やサービスの価値をしっかり提供し、その先で「この人とつながっていたい」という精神的なつながりを作っていくことが、ビジネスを長く続けていく上で重要です。
 

いずれにせよ、僕たちは誰かと関わり合いながら、価値を見つけながら生きていきます。

他人に与える影響や幸せが自分の価値を証明するものであり、それが他者の役に立つような大きな行動でなくても、ただそばにいることで安心感や幸福感をもたらすことができるのなら、それも立派な価値なんですね。

だからこそ、自分の価値を感じたいのであれば、「生きているだけで価値がある」というメッセージを思考停止で鵜呑みにせず、自己成長や他者との関わり意識し、与えることができる影響を大きくしていくことが大事です。


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