どうも、服部です(ハットリって誰?)。
Threadsで見かけた「コンサルは成果報酬でやるべきだ」という主張について、意見を聞かれることがあったので、僕の考えを置いておきます。
元の投稿は見てないんですが、この議題について投稿している人を何人か見かけたし、そこについている賛否のコメントもいくつか読んだので、その上で。
僕の結論としては、どっちでもいいんですよね。
成功報酬でも全然やるけど、そっちはそっちで約束事はちゃんと守ってねっていうだけです。
今回の「べき論」に関して言うと、成果が出なければ報酬は発生しないという条件で引き受けるのであれば、成果を出すために何をするのかまで真剣に考えるでしょうし、依頼する側がそういった関わり方を求めること自体はわかります。
ただ、「成果に責任を持て」と言うのであれば、「実行に責任を持て」もセットなんですよね。
提案を採用するかどうかはこっちの自由で、決めたタスクをやるかどうかもこっちの都合、その上で、成果が出なかったらそっちの報酬はゼロです、と。
自分の判断と行動は全部自由にしておいて、そこで生まれるリスクだけ相手に被せるのであれば、それは成果報酬というより、リスクの丸投げです。
もちろん、コンサルが「言う通りにやらなかったから」で逃げていいわけでもないし、実行できない計画を渡しておいて、相手の覚悟を疑うのもおかしいです。
お互いが何を約束して、約束を守らなかったときに何を引き受けるのかまで決めてこそ、筋の通った成果報酬になります。
なので、今回は報酬の払い方だけではなく、その前に誰が何を引き受けるのか、という話です。
提案を断る自由と、約束を守らない自由を混ぜない
まず、コンサルの提案は全部採用しろ、という話ではありません。
提案された集客方法が自分のやりたい商売と合わないこともあるでしょうし、今いるお客さんとの関係を壊してまで売上を増やしたくない、という判断もあるはずです。
そこに異論を言っただけで「だからあなたは成果が出ないんです」と返すのであれば、相談というより服従を求めているだけになりますよね。
ただ、提案を検討している段階と、お互いに納得して「これを、この日までにやりましょう」と決めた後では、話が変わります。
たとえば、既存のお客さんに新しいサービスを案内するために、コンサルが案内文を作り、クライアントが対象者を選んで金曜日までに送ると決めたのに、実際には案内が送られていなかったとするじゃないですか。
そうなると、そのまま月末になって「売上が増えませんでしたね」と言われたら、何を評価しているのかわからなくなるんですよ。
案内の内容が悪かったのか、相手の選び方がズレていたのか、価格に問題があったのかを確かめる前に、そもそもお客さんに何も届いていないので。
そこで必要なのは、コンサルの能力を採点することより、なぜ送れなかったのかを一緒に確認することです。
内容に納得できなくなったのであれば修正の相談が必要ですし、別の仕事を優先して後回しにしたのであれば、予定していた検証ができなくなったことも含めて、自分の選択として引き受ける必要があるわけです。
実行するかどうかを自分で決めているのに、実行しなかった影響だけをコンサルの実力不足にするのは、都合がよすぎます。
やらないという判断をすることはできますが、それによって当初の計画が変わるのであれば、目標や期限も含めて話し直す必要がありますからね。
提案への異論は遠慮なく言う、その上で合意したことは実行し、変える必要が出たら早めに相談するという関係があるからこそ、お互いに次の判断ができるのであって、反対意見を言うことと、約束を放置することを同じ自由として扱わないでほしいんですよね。
コンサルに従順な人がいいクライアントなのではなく、自分で判断したことを相手と共有できる人が、一緒に仕事を進められるクライアントなんです。
コンサルも、実行されない計画を渡して終わるな
ただ、ここまで読んで「そうなんですよ、クライアントがやらないから成果が出ないんです」と喜んでいるコンサルは、ちょっと待ってほしいんです。
その人が実行できる計画を、本当に一緒に作ったんですかと。
人手が足りないと聞いていたのに、毎日新しい発信を増やす計画を立てていないか、予算が限られているのに、外注ありきの提案をしていないか、何をやめてその時間を作るかも決めず、仕事だけ追加していませんかね。
これで動けなかった相手に「本気度が足りませんね」と言うのであれば、計画を作る仕事を自分の方がサボっている可能性があるわけです。
クライアントの実行責任を問う前に、コンサルは自分の提案が、その人の現場で動くところまで考えたのかを問われるべきなんです。
さっきの案内文の話でも、送る相手の選び方がわからなかったのかもしれないし、文章に書かれているサービスを、今の体制で提供できるのか不安だったのかもしれません。
その状態で「金曜日までに送るって言いましたよね」と期限だけ確認しても、手が止まっている理由はなくならないですからね。
合意したタスクであっても、実際にやろうとして初めて問題が見つかることもあるので、必要な情報を確認して、対象者を絞るのか、案内する内容を変えるのか、提供できる範囲を先に決めるのかを考える必要があります。
実行できない理由が見えたときに、相手の根性を試すのではなく、実行できる形へ計画を修正するところまでがコンサルの仕事です。
もちろん、止まった理由が共有されなければ、何を修正すべきかも見えにくくなるので、クライアントにも状況を共有してもらわなければなりません。
一方で、相談を受けていたのにコンサルが返信せず、そのせいで作業が止まっていたのであれば、それをクライアントの未実行として数えるのもおかしいわけです。
このあたりは「コンサルタントの3つのスタイル」でも書いていますが、自分の知識だけを渡すのか、相手の現場の知識も持ち寄って一緒に答えを作るのかで、関わり方は変わります。
成果に関わるつもりで引き受けておいて、うまくいかなくなった瞬間だけ「僕はアドバイスしただけです」という立場に戻るのはナシです。
お互いに責任があるというのは、「お互いに相手のせいにできる」という意味じゃないですからね。
成果報酬の前に、4つの約束をそろえる
じゃぁ、何を決めておけばいいのかというと、いきなり報酬の割合から話を始めず、まずは次の4つについて、お互いが同じ内容を説明できるようにしておくことです。
1.何がどうなったら成果なのか
売上が増えればいいのか、利益を増やしたいのか、継続して買ってくれるお客さんを増やしたいのかで、取るべき行動は変わるし、いつまでの変化を見るのか、何と比べるのかも必要になります。
たとえば、大幅な値引きで売上は増えたけど利益は減った場合、それを喜べるのかどうかが最初から違っていたら、数字が出た後に揉めますよね。
既存のお客さんから予定通り入ってきた売上まで今回の成果に含めるのかなど、どこまでを今回の仕事として見るのかも、うまくいってから都合よく決めるものではありません。
2.その成果のために誰が何をするのか
コンサルが案を出して終わりなのか、文章や資料を作るところまでやるのか、実際の営業や運用も引き受けるのかで、背負える責任は違います。
クライアント側も、誰が決めて、誰が動いて、何の情報をいつまでに出すのかを決めなければ、会議に出ている人は賛成しているのに、実際に動かす人には何も伝わっていない、ということが起きます。
責任を持ってほしいのであれば、そのために必要な情報と、決められる範囲と、実行する体制まで一緒に渡す必要があるんです。
3.予定通りに進まなくなったら、いつ何を話し直すのか
忙しくなった、担当者が変わった、やってみたら想定と違った、その変化を隠したまま最初の計画を守ろうとしても、成果に近づくとは限りません。
どの時点で止まったことを共有し、誰が計画を見直し、目標や期限を変える必要があるのかまで話せるようにしておけば、遅れを隠すための会議にしなくて済みます。
4.約束を守らなかった側が何を引き受けるのか
ここをクライアント側だけ空欄にしたまま、コンサルには「成果が出なかったら無報酬」を求めるから、最初の話に戻るわけです。
未実行で使えなくなった準備や確保していた時間をどう扱うのか、コンサル側の対応が遅れて機会を逃した場合はどうするのか、続行するのか、一度止めて条件から話し直すのか。
未実行のペナルティも含め、約束を破った場合に負う責任を双方が出せるかどうか、そこまでが話し合うべき内容なんですよね。
ただ、何か1つでも予定と違えば罰金、みたいな話にしてしまうと、今度は問題を早く言った人が損をする関係になるので、それでは修正に必要な情報が出てこなくなります。
できない理由を相談した人と、できると約束して黙って放置した人を、同じ未実行として扱ったら、まともな相談ができなくなります。
前提が変わったので合意して計画を変えるのか、約束が守られず相手に負担が発生したのかを分ける、その上で何を引き受けるかを決めるということです。
お互いの逃げ道を塞いで気持ちよくなるためではなく、約束を守る側だけが損をしないように、先に話をしておくんです。
約束を守っても失敗する、そのリスクまで話せるか
ここまで決めたら、必ず成果が出るのかというと、そんなことはありません。
必要な提案をして、合意したタスクを実行して、途中で修正もしたけど、想定していたお客さんの反応が得られなかった、ということはあり得ます。
その場合まで、クライアントの行動から小さなミスを探し出して「だから成果が出なかったんです」と言うのであれば、コンサル側もリスクを引き受けていないんですよ。
クライアントの未実行を口実に、どんな結果でも自分の報酬だけ守ろうとするのであれば、成果報酬を引き受けたことにはなりません。
なので、双方が約束を守っても成果が出なかったとき、報酬が発生しない条件であれば、その結果はコンサルも引き受ける必要があります。
その条件では仕事を受けられないのであれば、固定の報酬にするのか、一部を成果に連動させるのかを最初に相談すればいいし、依頼する側も、その条件で頼むかどうかを判断すればいいわけです。
成果報酬にできるかどうかは、自信の強さだけではなく、お互いが動かせる範囲と、残るリスクをどこまで引き受けるかで決まります。
提案を作るだけの仕事と、予算や販売方法を決めて実行まで動かせる仕事では、同じ人が受けたとしても条件は変わるので、成果報酬を断っただけで能力がないと判断するのも違いますよね。
逆に、成果報酬なら何でも受けますと言う人が、その事業の中身や実行する人のことをほとんど聞かないのであれば、何を根拠に引き受けているのかは確かめた方がいいでしょう。
僕が引っかかるのは、そういう具体的な話を全部飛ばして、「成果が出る自信があるなら、成果報酬でできるでしょ?」と相手の覚悟だけを試す言い方で、その理屈が通るのであれば、「約束を守る気があるなら、未実行のペナルティも受け入れられるでしょ?」も成立するわけです。
そこだけ急に「事情もあるし、やるかどうかはこちらの自由です」と言うのであれば、相手に求めていた覚悟は何だったんですか、という話になりますからね。
本気で成果を出したいのであれば、相手を試すための質問だけで終わらず、自分は何を実行し、何を任せ、約束を守れなかったら何を引き受けるのかまで出してください。
コンサル側も、自分が引き受けられることと引き受けられないことを説明して、実行できる計画と修正の仕事から逃げないことです。
成果報酬という払い方にしただけで、どちらかが責任から解放されるわけではないし、相手に覚悟を求めるのであれば、自分の約束も同じテーブル上に乗せるべきです。
まさか、自分だけ審査員席に座ったまま、コンサルに商売を成功させてもらうつもりじゃないですよね。






















