こんにちは、服部(@FACTDEAL)です。
先日、Twitterランドの中で「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の話が出まして、というか僕が出したんですが。
僕がオススメした本を読んでくれた人がツイートしてたんですね。
『USJは、
作った物を売る会社から、
売れるものを作る会社に変わりました』書籍よりこの言葉は胸に刻もう。 https://t.co/MRoZqnwiUc
— Satoshi@Macの人 (@satoshigarage) 2019年1月21日
で、僕が勝手にマーケットイン、プロダクトアウトの話に持っていったと。
マーケットイン大事でやんす。
ただ、多売しない小規模ビジネスであれば、ターゲティングさえミスらなければプロダクトアウトでも売れやすい世の中になってるとは思う。
プロダクトのクオリティが高いことは大前提やけど(ʘʖ̮ʘ) https://t.co/zfKi0DiWja
— ハットリシンヤ (@FACTDEAL) 2019年1月21日
で、マーケティングコンサルタントとして活動していると、「いや〜、今の時代、プロダクトアウトでも売れてしまうねんな〜」としみじみ感じる部分もあって。
そのことについてメルマガでも書いたんですが、テーマ的にもう少しガッツリ書いた方が良いなと思ったので、こちらのメインブログでも書きます。
もちろん、「プロダクトアウトで売る」ためには、“特定少数”へのターゲッティングはもちろん、ある条件が揃っていないと難しんですが、そのある条件を手に入れること自体が、現代ではそんなに難しいことではないんですね。
プロダクトアウトで売れる世界
そのある条件が何かというと、マーケットイン主義を打ち出すことによって集まったお客さんを、独自の経済圏(インフラやコミュニティ)の中に囲い込んでしまって信者化してしまうということです。
特に、個人ビジネスですと、SNS至上主義の現代では、恐ろしいことにわりと簡単にこれができてしまうんですね。
顔出しや名前を提示せずに、物販等で勝負している個人ビジネスであれば、お客さんは商品に付くので、ブランドが確立されていなければプロダクトアウトは難しいです。
が、個人が前面に出るビジネス、例えば、コンサルタントや美容師、ブロガー、パーソナルトレーナー、フードアドバイザーなどの場合は、バックエンド(リピート)商品の購入の決め手は、最終的には精神的なつながりになってくるんですね。
つまり、「信頼しているその人が差し出すものは無条件お金を払う」ということです。
そうなると、
・ファンが集まるまではマーケットイン
・ファンが集まったらプロダクトアウト
という流れが成り立ってしまうというわけです。
宗教ビジネスの恐ろしさ
これが強烈になったものが宗教なわけですが、中でもカルト宗教は酷くて。
なぜ、信者がわけのわからない壺を買わされてしまうのかというと、彼らにはその壺以外の選択肢が無いからなんですね。
信者ってのは教祖がつくった経済圏に生きてるのね。
精神的には、日本どころかもはや地球上にも住んでいない。
だから「あなたを救うための商品はこれだよ」って言われたら、それを買うしかないんよ。
その人が生きてる世界には、他に商品が存在しないから。
だからプロダクトアウトで売れる。
— ハットリシンヤ (@FACTDEAL) 2019年1月21日
ツイートでも書きましたが、一般社会から遮断されているので、物理的にも精神的にも、いわゆる「他の商品」にリーチすることができないんですよ。
なので、それが価値のない粗悪なものだったとしても、プロダクトアウトでもガンガン売れてしまうということです。
日本を震撼させた某カルト教団がありましたが、そこの某教祖の毛髪が1本1000円で販売されていたというのは有名な話で。
話を戻しますが、現代では、良い悪いは別にして、宗教と何ら変わらないビジネスモデルで溢れかえっています。
商品力やコンテンツ力ではなく、知名度やインフルエンサーという立場を利用して運営しているオンラインサロンなんかもそうですよね。
まぁ、オンラインサロンの参加者は実生活があるので、物理的には他の商品を購入するという選択肢はありますが、精神的にはおそらく選択肢は無い人がほとんどなので、高額商品を差し出せば購入するでしょう。
それが完全にプロダクトアウトの粗悪な商品だったとしても。
「マーケットイン=正義」という間違い
だからといって、「みんなで宗教ビジネスを構築して、この境地を目指そう!」ということを言いたいわけではなく。
こういった背景を理解した上で、本来のお客さんのニーズに沿うことは大前提として、宗教テクニックを正しく使いましょうということです。
要は、わざわざ自分を選んでくれたお客さんに、アンマッチの要素が無いかぎりは、可能な限り最高の商品を提供しましょうね、ということです。
イメージ的には、マーケットインとプロダクトアウトの間だと思っていただければ。
一般的に「マーケットインは正義」というような風潮がありますが、マーケットインに偏り過ぎてもダメなんですね。
カルト宗教的なコミュニティをつくって粗悪な商品を売るような行為をしなければ、プロダクトアウトマインドも必要だということです。
なぜなら、マーケットインを追求して行き着く究極は、自分の商品やサービスを提供しないことになってしまうからです。
世の中には良い商品はいくらでもあるので、そりゃ最も良い商品を手に入れてもらった方がお客さんは基本的には最も幸せになるわけなので、自分の商品やサービス以外を紹介することがベストの選択肢になります。
ただ、「基本的に」と言ったのは、良い商品は手に入ったけど予算オーバーで生活が苦しくなったとしたら、それは幸せではないですよね。
僕のいるコンサル業界を例に取ると、僕より優秀なコンサルタントは、世の中には腐るほど存在してるいるわけです。
で、普通に考えれば、日本でNO.1のコンサルタントに依頼したいですし、その方が明らかに成果も出るはずです。
できれば、大前研一さんに依頼したいわけです(笑)
でも、そもそも日本一のコンサルタントの存在を知らなかったり、知っていても金銭的、物理的に依頼するのは無理だったりするんですね。
なので、自分の身近な存在でベストな人を選ぶんです。
マーケットインとプロダクトアウトの間
マーケットインマインドで情報発信をし、お客さんのニーズに寄り添っていれば、プロダクトアウト商品(自身のリソースから割り出した商品)でも、日本で何位かわからないような僕にもコンサルティングの依頼が来るわけですね。
「私の周辺にいるコンサルタントの中ではこの人がベストだな」
と思ってわざわざ選んでくれるわけです。
これが、常にマーケットインマインドで、常に世の中のベストな商品やサービスを探して当てはめようとすると、
「こんなに高価なものはいらないよ…」
「うちの商品ではお客さんを満足させられない…」
と、販売者側も永久に商売になりんませんし、購入者側も常にN0.1の商品やサービスを追い求めさせられることになり、お互いに疲弊スパイラルに陥っていくんですね。
自分を押し殺してでもお客さんが求めるものを販売、紹介することが、必ずしもお客さんの幸せではないということです。
また、自分が売りたいものを売ろうとすることが、必ずしもお客さんを不幸にするわけではないということも理解しておきましょう。
あなた商品やサービス選ばれているのは、お客さんの現状においてあなたの商品がベストだからです。
お客さんを囲い込んで信者化し、プロダクトインだけに偏るのはもちろん良くありません。
が、かと言ってマーケットインばかりに固執してしまってもお互いに不幸になるということを、現代のマーケティングの新たな定説として理解しておきましょう。
個人ビジネスで意識すべきなのは「マーケットインとプロダクトアウトの間」で、しっかりとバランスを取って商品企画・開発をし、その中でベストなものを提供することです。