ビジネスの売上を考える上で
売上 = 客数 × 単価 × 購買回数
という方程式はあまりにも有名ですが、マーケティング的な視点で考えた場合、この方程式の内容は少し違ってくるんですね。
実は「客種」という要素が存在し、下記のようにそれを含んだ方程式がマーケティング視点での新しい「売上」の方程式になるということです。
売上 = 客種 × 客数 × 単価 × 紹介数
言ってしまえば、自分のビジネスに間接的に関わってくれる「新しい属性の人」をどれだけ巻き込んで、どれだけの人を同時に幸せにできるのかという考え方です。
それが「客種」であり「紹介数」で、ここをキッチリ押さえておけば、購買回数を含めたLTVは自然と増えていきますからね。
もう少し詳しく言うと、例えば「A」というあなたが「B」という目の前のお客さんだけを相手にする場合、利害関係というのは「A ⇄ B」、つまり価値を提供してその対価をいただくという、ごく一般的な商売のカタチになります。
一方で「A」というあなたが、目の前の「B」というお客さんだけではなく「B」を求めている「C」というお客さんとの接点を作ることができたとすると「A ⇄ B ⇄ C ⇄ A」という多方向での利害関係を作ることができます。
それぞれが価値を提供しあって、それぞれが対価(金銭に限ったことではなく)を得ることができるということですね。
ビジネスが軌道に乗ると、多くの人はさらに売上や利益を増やすために
客数を増やす
単価を増やす
リピート率を高める
という方程式のパーツ、つまりセオリーを強化する行動を取りますし、それ自体は全然間違いではないんですが「客種を増やす」ことと「紹介」によって「関係者を増やす」という舵の取り方もあるということです。
実際、僕はあるときから自分の商品やサービスの販売数を最大化していくのはやめて、舵をそちら側に切ったんですね。
理由は単純明快で、これからの時代を考えたときに「お客さんをシェアする」「お客さんをつなげる」ことの方が良いと思ったのと、個人でもそれをできる時代が来たからです。
じゃぁ、どうやってその立場で商売をして、それをすることでどんなメリットがあるのかということを解説していきます。
特に意識することなく自然にやっている人もいると思うので、そういった人はリマインドがてらに読んでいただければ。
「客種」を増やすことのメリット
このスタイルでビジネスをすることの最大のメリットは、やはり「仲間」や「味方」が増えるということですね。
変化のスピードが凄まじい時代において「これをやろう!」と思った時に助けてくれる人がいることは最高なことですし、その人との出会いが新しいことをやるきっかけになったりします。
で、僕の場合ですと、本業がコンサルタントなので、そういった出会いがクライアントの選択肢やチャンスを広げることにつながるんですね。
それが結果として関係者全員の(金銭的、精神的な)利益につながると。
例えば、クライアントの特性的にブログよりもYouTubeの方が戦略的に向いていると判断した場合、YouTubeの専門家や動画編集者をすぐに紹介できるので、かなりスピード感を持って成果を追求していくことができます。
冒頭の話でいくと、コンサルタントである僕(A)は、それによってクライアント(B)が成果を増やしてくれれば、契約料(単価)が増えたりや契約期間(リピート率)も増えます。
そして動画編集者(C)の人も売上が増え、信頼関係ができているのでお互いにお客さん紹介しあうことで、それぞれ利益と客種(関係者)がさらに増えていきます。
これは、1つの客種だけにこだわっていたら起こり得ないことなんですが、じゃぁどうやって客種を増やすのかという話なんですが、これはそんなに難しいことではないんですよ。
Twitterを見るとよくわかる
一番身近なところでいくとTwitterですね。
ビジネスライクにTwitterを運営している人のパターンは大きく2つあって、1つはひたすら自分の専門性と権威性を高めていき、自分のお客さんを集客している人、つまり客種を絞り込んでいる人ですね。
もう1つは自分の専門性や権威性の追求はそこそこにして、ある程度の影響力がついたらいろんな人を紹介しまくって人と人とをつなげている人。
中にはフォロワーや権威性を増やすためにそういったアクションを取っている人もいますが、当然それはNGなので、それは置いといて。
どういうことかというと、目的に合わせて発信を変化させましょうということなんですね。
自分の商売を成り立たせなければならないフェーズにある人は、まずは専門性と権威性を高め、それなりの影響力をつけることが優先であり、そのための発信をすると。
で、ある程度軌道に乗ったときにどうするか、という話で。
さらに専門性、権威性を高めて、ターゲット属性のフォロワーを増やして売上をあげていくというのもありなんですが、影響力を利用して、いろんな人をつなげて自分や関係者のチャンスの種を撒きまくるというのが今回の話であり、そのために発信内容も変化させましょうと。
メディアを分けるという考え方
発信内容を変化させる上で「ブログではこれ」「YouTubeではこれ」というふうにメディアを分けるというのありなんですが、実を言うとこの戦略はあまり推奨できません。
なぜなら、関係者を増やすことが目的なので、メディアを分けてしまうと同じターゲット層だとしても垣根ができてしまい、つながりをが作りにくくなるからです。
同じ悩みを抱えている属性でも、ブログを見る人とTwitterを見る人、あるいはYouTubeを見る人とではマインドやリテラシーが違うわけですからね。
違うビジネスを完全に独立させて取り組むのであれば、媒体を分けることは大正解なんですが、今回はそうではないということです。
Twitter内、YouTube内など、あくまでも同じ媒体の中でつながるということが肝になります。
もちろん、より詳細な情報を伝えるためにTwitterからブログやYouTubeへ誘導するのは全然ありです(YouTubeのアルゴリズム的には賛否あると思いますが)。
例えば、僕はマーケティングの専門家という部分は軸として置きつつ
動画編集者
YouTuber
アフィリエイター
士業
ブロガー
アパレル関係者
飲食店経営者
などに言及したツイートやブログ記事を、トレンドや世の中的に必要なタイミングで発信していて、そういった発信をすることによって多様なお客さんが来てくれるようになります。
もちろん、僕はそれぞれの専門家ではないので、あくまで本業を含めたマーケティングに関するコンサルや、それらに掛け合わせる「次の一手」のサポートをするわけですが。
実際、お客さんが求めているものもその部分ですしね。
そのプロセスの中で、クライアントが専門性を高めたかったり専門的な問題を解決したいのであれば、自分より優れた専門家のコンサルを受けた方が効率的でしょうし、そういった人からアドバイスを受ける方が成果につながりやすいのは言うまでもありません。
媒体を分けたり、アカウントを分けたりすることで情報の解像度が上がりますし具体性も高まりますが、抽象度が高いからこそ生まれるこういった接点は減るので、目的に合わせて発信するようにしましょう。
Twitterでは限界がある
とはいえ、Twitterだけで深いつながりを作ることは、不可能ではないですが難しいんですね。
基本的に広く浅くなってしまいます。
なぜなら「この人が紹介するなら間違いない」と思ってもらわないと、僕と客種B、客種Cはそれぞれつながるものの、BとCはつながらないからです。
そういったデメリットも踏まえると、やはりいろんな業種の人が参加できるオンラインサロンのようなコミュニティを作り、その中で接点を作るというのがベストなんですよね。
実際に、そういった取り組みの延長線上で僕が運営しているコミュニティでは、業種は本当にバラバラで、前項以外の属性に人もたくさんいるんですが、だからこそ、その中で様々な取引が発生しているわけです。
その際も「ハットリさんのサロンに入って来てる人なら大丈夫かなと思って」という信用のもと、メンバー同士がつながってくれているんですが、その信用をTwitterだけで作るのは僕自身も難しいと思っていて。
まぁ、Twitterだけでそれができている人もいるので、コミュニティ形成はマストではないですが、LINEやオンラインサロンなどがあった方が狭くて深い接点は作りやすくなります。
ということで、ビジネスが軌道に乗ってきたら、特化型で自身の数字のみを追求していくのか、客種を増やしてチャンスの種を撒いていくのかの転機だという視点も持っていただければ。
僕自身はというと、軌道に乗ってからも一定期間は前者で走り続けたんですが、途中で「これだけだとまずいな」と不安になって、狭く深く客種を増やすことにシフトしていきました。
あと、自身の数字をガムシャラに追求することが使命とは感じなかったし、そこにモチベーションも持てなかったというのもあります。
よく「ハットリさんはいつも余裕ですね」と言われるんですが、僕がビジネスをしていて大きな不安や心配ごとのストレスがほぼないのは、たくさん稼いでいるからではなく、手を組めたり教えを請うことができたりする優秀で人間的にも魅力的な人たちが周りにいるからなんですよね。
仮に今のビジネスがポシャったとき、ゼロから再起する際には強い味方がたくさんいることは何よりも大事ですし、たくさんのキャッシュよりもそれが精神的な安定になるんです。