過去、今、未来

経営・ビジネス

過去を見返し、未来の取り組みを始め、大事な今に目を向ける

今の社会情勢に限らず、ビジネスに不安を感じ始めた時にやるべきこととして「新しいビジネスに取り組む」という流れがあります。

確かにそれはセオリーでもあるんですが、それは今までビジネスの立ち上げと撤退を多く経験してきた人に限ります。

 

それ以外の人は、実はその前にやるべきことがあるんですね。

もちろん、不安のレベルにもよるんですが、今のビジネスに不安を感じているということは「今のビジネスが上手くいっていない」という可能性が高いので、その状態で新しいビジネスに取り組んでもヤバいんです。

ちゃんと「本当の」順番があるので、自身の経験や状況を把握しつつ、順番に従って改善をしていってください。

優先順位①:過去に上手くいっていたことをやる

現状に不安を感じていると、焦って「新しいビジネスを始めて収益源を増やさなきゃ」となってしまいがちなんですが少し待ってください。

そもそも新しいビジネスに取り組むにはそれなりの時間とお金、メンタル、つまり、かなりのパワーが必要になるのは言うまでもなく。

なので

時間に追われている
資金繰りに余裕がない
精神面が不安定

といったような状態で新しいビジネスに取り組んでも、上手くいく可能性が極めて低いんです。

もちろん、ビジネスは撤退と立ち上げの繰り返しなので、そのサイクルやフローに慣れている人であればガンガン進めていけば良いんですが、そうではない人は一定以上の安定を先に得る必要があります。

安定というのは「時間」と「お金」と「メンタル」のです。
 

もう少し突っ込んだ話をすると、現状のビジネスに不安を感じているということは、下の図でいうとDになってしまっている、あるいは今後すぐにDになってしまう可能性があるということなんですね。


で、この「売上もあがらない」「リピートもされない」というDの状況になってしまっているビジネスを、捨てたいのに捨てられない状態というのは非常に大きなストレスです。

この状況で「新しいB」や「新しいC」を確保するために取り組んでもあまり上手くいかないので、そのときにまずやることが「古いB」や「古いC」です。

過去に取り組んで上手くいったけど今はやっていないというビジネスに取り組んだり、商品を販売したりするということですね。

なぜそれをやめたのかの理由にもよりますが、ただ直感的にやめただけであれば再スタートすれば良いだけですし、反応が落ちていってやめたのであればコンセプト(ターゲットや発信内容、発信媒体など)を変更します。
 

そうして、BやCを確保し

時間的猶予
資金的猶予
安定した精神状態

を得てから新しいビジネスに取り組んでいくと。
 

また、過去に目を向けることで忘れていた成功体験(こうすればこうなる)を思い出します(時間が経つと「こうすればこうなる」を忘れがち)。

学びや成長というのは「こうすればこうなる」をしっかりと言語化し、ピンチの時に出せるカードを増やしていくことなので、そのためにも過去の成功事例を掘り起こす作業というのはかなり重要なことです。

優先順位②:新しいことに取り組む

予想外かもしれませんが、過去にやっていたビジネスが上手くいき始めたら、次に取り組むべきなのは今取り組んでいるビジネスではなく新しいビジネスです。

なぜ過去と向き合うというアクションをしたあと、今ではなく未来に目を向けるのかというと、今取り組んでいるビジネスというのは様々な制約条件から逃れることが困難であり、未来の方が見通しを付けやすいからです。

ターゲットも固まっていて、商品やサービスも決まっているわけなので、それを改善するということは悪く言えばブレることであり、既存のお客さんを混乱させることにもつながります。

場合によっては新しい人員を雇ったり、違う専門性を持ったビジネスパートナーと手を組まなければなりません。

であれば、制約条件がなく(少なく)始めることができる新しいビジネスに取り組んだ方が断然効率が良いんです。
 

また、制約条件がない上に、過去に一度目を向けて「こうすればこうなる」というデータと向き合っているので、スベる可能性が低いビジネスやビジネスモデルを構築しやすいんですね。

そういった意味でも、過去を見たあとは今を一旦スルーし、未来に目を向けるというのが大事なんです。

優先順位③:今やっていることを改善する

なぜ「まず今やっているビジネスを改善しましょう」の優先順位が低いのかというと、同じアクションを続けていて右肩下がりになるということは、外的要因によってビジネスが頓挫している可能性が高いからです。

というか、慢心によって手を抜き、ビジネスが悪い状況になっているというのは論外なので、基本的には外的要因でしかないんですね。

であれば、制約条件も多く改善の難易度が高い今に目を向けるより、過去に上手くったビジネスを編集・加工して取り組んだ方が効率が良いわけです。

そして、その次も新しいビジネスを進める方が良いと。

なので、新たなインプットやリサーチを効率良くするという意味でも、今取り組んでいるビジネスを改善するのは最後の最後なんです。
 

また、今取り組んでいるビジネスというのは慣れ親しんでいるものであり、悪く言えば惰性でも回っていくので、売上が下がりつつもある程度の売上をキープすることが一番容易です。

最低限のメンテナンスは続けつつ、別の成果が出やすいビジネスに取組むということですね。

ということで、過去に上手くいったビジネスに取り組んで安定を確保した上で新しいビジネスに取り組み、新しいことが軌道に乗ってきてから今取り組んでいるビジネスの改善に向かいましょう。

補足:全て同時進行がベスト

言うまでもないですが、可能であれば

過去に上手くいっていたことをやる
新しいことに取り組む
今やっていることを改善する

は全て同時進行で進めていくのがベストです。

新しいビジネスが上手くいくことで認知度や評価が上がり、撤退予定だったビジネスにも良い影響を及ぼしたり、過去のビジネスが輝きを取り戻すことは往々にしてあるからです。

そうなると、時間も資金もメンタルも人にも余裕が出てきて、収益の底上げが容易になります。
 

といった要素を踏まえて、過去を見返し、未来の取り組みを始め、そして何よりも大事な今に目を向けましょう、ということです。

このアンケートでも出ていますが、今は大丈夫でも未来を見据えて踏ん張っていきましょう。



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