サンユッタ・ニカーヤの言葉の中に
生きることには“苦しみ”が伴う。
苦しみには“原因”がある。
苦しみは“取り除くことができる”。
苦しみを取り除く“方法”がある。
というものがあるようで。
いや、別に僕は仏教徒でも何でもなく、最近たまたま読んだこの本でこの言葉を知っただけなんですけどね。
表紙を開いたら早速書いてあったわけですが、まぁ、この原理原則は何でも当てはまります。
もちろん、ビジネスにも。
ただ、そもそも苦しいビジネスはさっさとやめてしまえば良いので、ビジネスに置き換えるとこんな感じになりますかね。
ビジネスに取り組む限り“問題”が伴う。
問題には“原因”がある。
問題は“取り除くことができる”。
問題を取り除く“方法”がある。
人生は(基本的には)やめることはできませんが、ビジネスはやめたいと思えばやめることができるわけですから、ビジネスにおいて向き合うのはあくまで「問題や悩み」であって苦しみではありません。
ビジネスも会社も「継続しなければならない」という固定観念に縛られている人は多いですが、別に続けること自体には意味なんないんです。
この記事でもお伝えしているように、ビジネスは立ち上げと撤退の繰り返しがセオリーなので、そういったマインドセットができていれば苦しむことなんてまずありえません。
とはいえ、それでもビジネスをする上で「苦しみ」が伴っている人がいるのも事実です。
カンの良い人であれば、この流れから「なぜ苦しむのか」の原因はわかると思いますし、その答えも導き出せると思うので、今回は答え合わせのつもりで読んでいただければ。
ビジネス選定の失敗
ビジネスに苦しみが伴う一番の原因は「ビジネス選定の失敗」です。
儲からない
楽しくない
情熱を持てない
といったビジネスを選んでしまうことは当然の失敗の原因として、やはりいちばん問題なのは、最初の段階で「撤退が難しいビジネス」を選んでしまうことです。
やめたい時にすぐにやめることができない、ということですね。
最初から撤退を視野にいれていればこんなことは起きないんですが、撤退を含めた出口を考えていないと、やめたいときにやめることができず苦しみながらビジネスをすることになります。
わかりやすいところで言えば「店舗ビジネス」がそうですね。
一人で気楽にやっているBARなどならともかく、人も抱えて在庫も抱える店舗を経営していると、自己都合やノリで「やーめた」とはいきません。
もちろん、人も在庫も抱えないコンサル業などでも、クライアントがいる限り「やーめた」とはできないですが、無在庫なので圧倒的にリスクは少ないです。
事業継続が不可能になった場合、契約金を全て返金すればOKなパターンもあるので。
完全なノーリスクを望むのであれば、他社に迷惑がかかりにくいアフィリエイトやコンテンツ販売くらいしかありませんが、厳密に言うと人と関わる以上誰にも迷惑がかからないなんてことはありません。
アフィリエイトでも、古くなった情報を放置していて、そこから購入につながってしまった場合は迷惑がかかりますしね。
撤退しにくいビジネスを選ぶなら
別に店舗ビジネスが悪いと言いたいわけではなく、撤退しにくいビジネスをあえて選定するのであれば、いくつかのリスクを想定してスムーズに撤退できるように準備しておきましょうということです。
多少のリスクがあってたとしても。楽しめるビジネスに取り組んだ方が伸びやすいですし、何よりやりたいことをやっている方が人は幸せですから
で、準備というのは具体的にはこの2つで、このどちらかの目星がついていれば大抵のリスクは回避できるかなと。
① 売却相手を確保しておく
② 引継ぎ相手を確保しておく
まず、売却相手に関してですが、これは単に買収してくれる相手を探しましょうということではありません。
当然、買収してもらうにはそれだけの価値が必要になるので、その事業や店舗にそれ相応の価値(収益性の高さや継続性、将来性、独自性など)がなければならないわけです。
撤退しにくいビジネスをあえて選択するのであれば、お客さんの満足度はもちろん、将来の買収相手も見越してビジネスとしての価値も積み上げておかなければならないということですね。
事業売却よりも難易度が低い「事業を引き継いでもらう」というパターンがありますが、売却と違うのはビジネスパートナーや既存の従業員など「近しい人に経営を任す」ということですね。
オーナー自体が変わっても良いですし、オーナーはあなたのままで経営だけ代わって良いんですが、当然、後者ですと撤退の際の責任やリスクはあなたが背負うことになります。
なので、売却の際の支払いを発生させない代わりに、前者でロイヤルティを支払ってもらうカタチにするなどが理想ですね。
明日あなたが死んだら
ビジネスの人脈は「上」に作ることが基本なんですが、その目的の一つとして不慮の撤退の際にビジネスやお客さんを引き継いでもらうためというものがあります。
ちなみに、不慮の撤退というのは、例えば、あなたが大ケガをしたときや重大な病気にかかったとき、死亡したときの撤退のことですね。
例えば、僕が明日死んだらコンサルのクライアントは放置されることになってしまいます。
もちろん、僕が死んだ瞬間に「契約解除だ!」「お金を返せ!」と言ってくるようなお客さんとはお付き合いしていないので、揉め事になったりその矛先が家族や関係者に向くようなことはありません。
が、こちらとしてはちゃんとクライアントのフォローはしたいわけで。
その際に、僕と同等かそれ以上に優秀なコンサルタントやマーケターが引き継いでくれればそんなありがたいことはありません。
なので、そのためにも人脈というのは自分よりレベルに低い信者ばかりと作るではなく、自分よりも実力も実績も優秀な人とつながり「何か合ったときはお願いします」伝えておくのが大事なんですね。
そういった人宛にビジネス用の遺書を残しておくとなお良しです。
終焉の際のルール
良い意味で「やめたくてもやめられない」という、そのくらい楽しくて情熱を注げるビジネスであれば、撤退の際にリスクを背負ったとしても後悔はないのかもしれません。
もちろん、人に迷惑をかけるのはダメですが。
ただ、精神的に厳しい「やめたくてもやめられない」という状態が続くと、散々苦しんだ挙句、撤退の際にも大きな苦しみを伴うので、できれば最初から撤退の難易度が低いビジネスを選定するのがベストです。
それでも、撤退の難易度が高いとがわかっていても、あえてそのビジネスに取り組む場合は「終焉」の状態やそうなった際の対応を決めておきましょう。
ビジネスの難易度自体は、別に高くても良いんです。
が、撤退の難易度が高いビジネスは慎重に選んだ方が良いですし、そもそも苦しみの原因となるものは事前に取り除いておく方が圧倒的に楽だということですね。
苦しみから開放される最終手段
今回は、撤退が難しいビジネスを選んでしまうと苦しみが伴うし、数々の苦しみから逃れられなくなってしまうという本質的な話をしました。
なぜ本質的なのかというと、冒頭でも少し触れましたが、やめることさえできればあらゆる苦しみからは開放されるからです。
例えば、ビジネスのコンセプトをミスって質の悪いお客さんばかりが集まってきてしまうという状態になったとき、リセットをして別のコンセプトで再スタートすれば良いだけなんですね。
風評被害を受けた場合などもそうです。
ただ、リセットできないがゆえに苦しみ続けるということになってしまうので、ビジネスにおいて「やめたいときには自分の意思でいつでもスムーズにやめられる」というのは非常に重要なポイントになります。
もちろん、ビジネスをする以上、苦しいことでも向き合って改善しなければならないこともあるので「何かあったらすぐに逃げれば良い」ということではなく、あくまで理不尽な苦しみから開放される最終手段と思ってください。
ビジネス参入や選定の参考にしていただければ。