問題にはボウリングでいうところの「センターピン」があり、それさえを解決すればドミノ倒しのように全てが上手くいくというような話があります。
コンサルタントでも問題解決の考え方としてこの例を出す人はちょいちょいいるんですが、実はこの考え方はけっこう危険でして。
確かに、問題にはトリガー(問題を引き起こしている問題)があるので、それが何なのかを知る必要はありますが、じゃぁそれだけをクリアにすれば雪解けのように全てが上手くいくかというとそういうわけではなく。
問題というのは、さまざまな要因が複雑に絡み合っているものなので。
例えば、チームが上手く機能しない原因として、特定の人物の性格や能力に難があったとして、じゃぁその人物を外せば上手くいくのかというと、瞬間的には上手くいくかもしれませんが、長期的にみた場合、同じような問題が何度も起こる可能性があるわけです。
例えば、その人物を
マネジメントできていないリーダーの問題
変革できないチームコミュニケーションの問題
採用してしまったスクリーニング基準の問題
などなど、様々な原因が考えられますし、多角的に可能性を吟味していかなければなりません。
そう、つまりは「これさえやればOK」のようなものはないわけです。
毎回それが通用するはずだという考え方は、毎回ストライクを取る前提になるので、そんなギャンブル的な対策はないですよねという話で。
そもそも、毎回通用するという保証はなく、そんな都合の良い必殺技は存在しないし、もしストライク取れなかったらどうするんだっていう話になるじゃないですか。
なので、必要なのはセンターピンを狙ってストライクを取るスキルやマインドではなく、スペアを取れる技術なんですよ。
つまり、1回はミスることを想定し「これで上手くいかなかったら次はこれ」というふうに2回目できっちり勝負を決められるようにしておくということです。
1投目でピンが左右に割れてしまった場合、スペアを取るためには特別な知識やテクニックが必要なので、ストライクを取るスキルしかない人はもうあきらめるしかなくなりますからね。
ボウリングではチャンスは2回ですが、ビジネスは「次はこれ、その次はこれ、それがダメでも次はこれがある」というふうに何度もフォローできるようにしておけば良いわけですし、それができる人の方が強いです。
とはいえ、起きた問題に対して最初から多角的に見るのは難しいので、まずは2つの側面から見るということから始めると良いです。
しっかりスペアを取るために2つのアプローチ法を知っておくということですね。
ビジネスの土台は3つ
この話をする前に押さえておかなければならないビジネスにおける3つの土台があるんですが、それは何かというと
① マインドセット
② ビジネスモデル
③ マーケティング
で、これらにはそれぞれ1投目と2投目があるということですね。
どちらの方が大事だとか優先順位が高いということではなく「まずはこれに力を入れ、次にこれ」というふうに考えてもらえると良いかなと。
それぞれが持っているリソース(影響力や人脈、商品力、得意分野など)よって優先順位や力の入れ方は変わってくると思うので。
ただ、マインドセットの上にビジネスモデルが乗り、ビジネスモデルの上にマーケティングが乗るという、この順番は崩れることはないと思っていただければ。
なぜなら、マインドセットを蔑ろにした状態で良いビジネスモデルは作れないですし、ビジネスモデルが定まっていない状態でマーケティングしてもムダだからです。
どれもテキトーな状態で進めていくことは可能ですが、いつかどこかで歪みが発生し、一気に崩れ落ちます。
1投目と2投目
では、マインドセット、ビジネスモデル、マーケティング、それぞれにおける1投目と2投目の要素は何かというと、次のように分けることができます。
❶ フィジカル(身体の健康)
❷ メンタル(心の健康)
❶ What(どんなビジネスをするのか)
❷ How(どうやって稼ぐのか)
❶ 露出(どうやって知ってもらうのか)
❷ 求心力(どんなコンセプトにするのか)
これだけ見てもなんとなくわかりますよね。
マインドがクサっていればヤバいビジネスに手を出しますし、ヤバい方法で集客をするという、Twitterではお馴染みの光景はこのような段階を経ているわけですw
もう少し詳しく書いていきますね。
① マインドセット
何度か話していますが、マインドセットというのは精神論ではなく「こういうときはこうする」という思考や行動のテクニック、パターン、習慣です。
極端な話「恋愛と友情どっちを取るのか」「人間関係とお金どっちを取るのか」みたいなことで、この積み重ねが人生を決定づけるということですね。
で、マインドセットには良いマインドセットもあれば悪いマインドセットもあって、それを決定づけるものがこの2つです。
❶ フィジカル(身体の健康)
❷ メンタル(心の健康)
健康状態が悪ければメンタルは病んでいきますし、メンタルが病んでいると健康状態が悪化していくという逆パターンもあるわけですが、いずれにしてもこの状態では良い思考や行動が生まれるはずがなく。
むしろ、悪い思考や行動パターンだけがどんどん習慣化されていって、どんどん病んでいくことになるんですね。
そんな状態でビジネスに取り組むなんてとんでもないわけです。
なので、メンタルがヤバいなと思ったら、食事や運動、リズムといった生活習慣から見直すことが大事ですし、逆に健康状態がヤバいな思ったら不健康に至らせてしまっているストレスを排除してメンタルを安定させるということが大事になります。
健康系や自己啓発系にありがちな「筋トレが全てを解決する」「イヤなことから逃げろ」みたいな偏ったアプローチは意味がないということですね。
フィジカルかメンタル、どちらかをセンターピンに設定してぶっ倒しても、両輪で考えていない限り同じ問題は何度も起きますし、その都度対応できないということになりますから。
両輪で考えた上でどちらか弱い方、例えば身体の健康状態が思わしくないのであれば、食事なのか、運動なのか、睡眠なのか、とブレイクダウンしていき、今の自分にとって必要な対策をしていくと。
② ビジネスモデル
マインドが整ってはじめて“真っ当な”ビジネスをするための基盤ができあがるということです。
マインドセット、つまり「こういうときはこうする」という思考や行動パターンが固まっているということは、何を大事にすべきかがわかっている状態なので、どんなビジネスをするにせよ周りの人から応援される状態になっていくんですよね。
逆に応援されない人というのは…そういうことです。
病みツイートや愚痴ツイートばかりしてたり、ヤバい人や胡散臭い人と絡んでる人に仕事をお願いしようなんて気にはならないじゃないですか。
ただ、マインドセットさえ整っていればどんなビジネスをしても良いのかというと、そういうことにもならないんですね。
ビジネスをする以上、利益を出さなくてはならないわけですが、利益創出の難易度や利益の天井は何で決まるのかというと「What(どんなビジネスをするか)」で決まるので、しっかり選定する必要があります。
❶ What(どんなビジネスをするのか)
❷ How(どうやって稼ぐのか)
もちろん、WhatとHowはビジネスモデルの両輪ではありますし、ある程度は工夫によって伸ばすことはできますが、そもそもWhatをミスってしまうと限界はすぐ来てしまうわけです。
稼げないビジネスを選んでしまうと、何をどれだけがんばっても稼げないということになりかねないということですね。
この辺の話に関しては、こちらの無料部分でもガッツリ書いているので参考にしてください。
例えば、フランチャイズでコンビニの経営を始めたとして、1店舗を経営するだけでは利益の天井は決まってきます。
これは、前澤友作が経営しようが孫正義が経営しようが、あるいは菅田将暉が経営しようが橋本環奈が経営しようが同じことで。
もちろん「日本一かわいい店長がいるコンビニ」みたいな打ち出しをして集客につなげることはできますし、別のビジネス(インフルエンサービジネスなど)につなげることはできますが「コンビニの経営」という単体で見たときは限界があるという話です。
ルールや仕組みを変えない限りはどうにもならないということですね。
そういったことを理解した上ででWhatを選定するわけですが、その際に別に稼げることよりも楽しめることが大事なのであれば、それを基準にビジネスを選んでも良いですし、稼げるビジネスを選んだ上で、しかも楽しめるようにHowを工夫するという考え方もありです。
まぁ、この辺りもマインドセットの軸が固まっていれば自ずと決まってくるでしょう。
③ マーケティング
ビジネスモデルのフェーズもマーケティング部分になるんですが、さらにマーケティング要素が強くなるのがこのフェーズです。
ビジネスモデルが想定できた上「じゃぁどう集客していくのか」という部分ですね。
❶ 露出(どうやって知ってもらうのか)
❷ 求心力(どんなコンセプトにするのか)
マーケティングとは書いたんですが、実際はマーケティングというのはもっと広義になるので、集客の二大要素は「露出」と「求心力」ですよというふうに理解していただければ。
ザックリ言うと、露出というのはどんなメディアを使ってどんな認知活動をしていくのか、求心力というのはどんなコンセプトで人を惹きつけるのかということです。
どんなに良いコンセプトがあっても知ってもらえなければ意味がないですし、逆にどれだけフォロワーが増えてもPVが集まってもコンセプトがビミョーであれば人の目に止まりませんし、その先にあるコンバージョンや購入につながりませんからね。
それ以前に、良いビジネスモデルや良い商品が前提としてあるべきだということです。
ちなみに、ブランディングというのはこういった地道な活動の先にあるものなので、当然、マーケティングを蔑ろにした状態でブランディングどうこうしても意味がないということは言うまでもなく。
で、露出はブログかYouTubeかTwitterか広告かとか、どんなコンセプト(ターゲット、プロセス、目的地)で求心するのか、というふうにマインドセットやビジネスモデルと同じように、弱い方をそれぞれブレイクダウンして改善していくと。
マーケティングの話に関しては僕の専門分野なので、今までも散々しているんですが、これらはマインドセットとビジネスモデルの上に乗っかるものだという話ははじめてかも知れませんね。
ということで、集客が上手くいかない、マーケティングが上手くいかないという人は、一つ前のビジネスモデルに戻る、ビジネスモデルがビミョーな人はマインドセットに戻ってください。
マーケティングなどが上手くいかない場合、ほとんどの人はテクニックやノウハウのインプットを始めるんですが、やはりそれ以前の土台の部分から見直すことが大事です。
オモチャのブロックようなもので、下部が安定していないとそこからどれだけ上に積み重ねても高くなる前に崩れ落ちてしまいますからね。
ストライクよりもスペア、ホームランよりもヒットという認識を忘れずに、マインドセット、ビジネスモデル、マーケティングとそれぞれ積み上げていっていただければ。