こんにちは、服部(@marketing_factdeal)です。
マーケティングは、ビジネスにおけるお客さんニーズの分析や理解、提供する価値を最大化する手法なんですが、これをビジネスだけでなく、人間関係や子育てにも活用することができます。
ビジネス的な視点で見た場合、マーケティングは「行動経済学」などを持ち出されて小難しく語られることが多いです。
が、マーケティングは相手の気持ちをとことん考えることであり、さらには自分のことも理解してもらうという「相互理解」が基本になります。
ビジネスが市場のニーズと自分のスキルが合致によって成り立つのと同様、人間関係も
相手が困っていることや喜ぶこと(ニーズ)
自分が役に立てること(スキル)
が噛み合うことで、成り立ちます。
今回は、このマーケティングの考え方が子育てにどう役立つのかを、お金が絡んでくる「おこづかいをあげる」をテーマにして解説していきます。
マーケティングだけではなく、「お金の価値観」の早期教育にもつながるので、ぜひ参考にしてみてください。
労働の対価ではなく感謝の対価としておこづかいを渡す
子どもが成長してくると、おこづかいを渡すタイミングが訪れますよね。
その際、多くの家庭では、毎月一定額をおこづかいとして渡すか、家のお手伝いをした際に、その対価としておこづかいを渡すか、どちらかが多いと思います。
そして後者の場合、「ママのお手伝いをしてくれたから〇〇円あげる」、そして子どもは「ママのお手伝いをしたから〇〇円もらえる」という認識であり、それ以上でもそれ以下でもなく。
これが悪だとは言いませんが、これだけだと子どもはサラリーマン思考、つまり「労働の対価としてお金をもらう」「自分の時間を切り売りしてお金をもらう」という基本思考で育ちます。
あくまで作業の対価としてしかお金を受け取っていないので。
ここで教えてあげてほしいのが、お手伝いをすることによって「一体誰が幸せになるのか?それはなぜか?」ということです。
つまり、単純にお手伝いの「労働の対価」としておこづかいを渡すのではなく、その結果として家族(パパやママ)が得た「ベネフィット」を評価し、それに対しておこづかいを渡すようにしてほしいんですね。
「ベネフィット(Benefit)」とは、商品やサービスを利用することで得られる「利益」や「メリット」を指します。単なる機能や特徴ではなく、ユーザーにとって具体的にどんな良いことや価値をもたらすのか、という点に焦点を当てています。たとえば、スマートフォンのベネフィットは「どこでもすぐに家族や友人と連絡が取れること」「手軽に写真を撮って思い出を残せること」などです。
要するに、ベネフィットとは「この商品を使うことで、何が良くなるのか、どう助かるのか」を伝える部分です。
上記にあるように、マーケティングの基本には、商品やサービスが提供する価値「ベネフィット」を強調するという考え方があります。
同じように、家のお手伝いを通じてパパやママが得た喜びや幸せをベースにおこづかいを与えることで、子どもたちに「お金を稼ぐこと」とは単なる労働や時間の切り売りではなく、自分の行動や価値提供を通じて人を喜ばせることにつながると教えることができるんですね。
たとえば、子どもが洗い物をしてくれたおかげで、「久しぶりにリラックスした時間を過ごせた」「ママが趣味の時間を持てた」「久しぶりにパパとママでデートできた」など、得られた時間や感情的なメリットを評価し、それに対して「ありがとう」「嬉しい」と伝え、おこづかいを渡すということです。
子どもがベネフィットを意識することの効果
ママが楽になったり笑顔になったりすることで、パパは仕事をもっとがんばれて、もっとお金も稼げるようになって、そうしたら家族みんなで旅行に行けたり、もっといろんな経験ができるようになって、みんなが幸せになる。
みんなを幸せにすること、その対価としておこづかいをもらえているということを、子どもに教えてあげてください。
この考え方は、単におこづかいをあげる方法を変えるだけでなく、逆算思考はもちろん、子どもが自らの行動で他者にどのような影響を与えられるかを考える力を育てます。
人を喜ばせることや幸せにすること、そしてその結果に対して報酬を得るという経験を通じて、将来自分の価値を提供して生きる力が自然と身についていくんですね。
学校教育や習い事では、何かをすることでその行動自体を評価することが多いですが、行動によってどのような効果が得られるのか、その「誰がどんな気持ちになるか」という部分にはなかなか踏み込んでいきません。
日本の教育では「相手の気持ちを考えましょう」と言われる時は、相手を傷つけた時の反省など、大抵ネガティブな場面が多いですが、相手を喜ばす、ベネフィットを想像するという前提で「相手の気持ちを考えましょう」という話が出ることはほとんどないですよね。
だからこそ、親がしっかりマーケティングを学び、家で活用していくことで、より深い人間関係を築ける子どもに育つ可能性が広がるわけです。
物欲を満たす際のベネフィットを考えさせる
一方、おこづかい制を採用せず、欲しいものをすぐに買ってあげるという家庭でも、このマーケティング思考を取り入れることができます。
たとえば、子どもが何かを欲しいと要求した際に、その物を買うことでどのようなベネフィットを家族に提供できるのか、簡単にプレゼンテーションさせてみるんですね。
そうすることで、子どもに「これを買ったら家族がどんな気持ちになるか」という観点から考えさせることで、物の価値を「単なる欲望の達成」ではなく「家族全体の幸福」に結びつけて考える力が育つんです。
我が家を例に出すと、おもちゃを買って欲しいと言われた際に、「これを買ったらどうなるの」と聞くと、「これを買ったら兄弟で喧嘩しないで仲良く遊べるから、パパもママも幸せな気持ちでいられる」と説明されたことがあります。
こういった思考を日々の中で繰り返していくことで、マーケティング思考だけでなく、他者を思いやる優しい心が養われるんです。
自立心と創造性を育てるマーケティング思考
ここまでの内容でもわかる通り、マーケティング思考は、脱サラリーマン思考、つまり自分で考え、行動し、価値を生み出していく力を育むための考え方です。
この考え方を通じて育った子どもは、単に「誰かの指示通りに働く」という枠にとどまらず、自分自身の力で人を喜ばせ、社会で価値を創造していく力を持つようになるということです。
また、人に喜んでもらうことで得られる報酬の本質を理解することで、お金だけでなく、人間関係や社会における価値提供の意味を知ることができます。
子どもだけではなく、家族全体でマーケティング脳を育てることを目指してください。
もし「これお手伝いして〜」「はい、ありがとうおこづかいね」で終わってしまってる人は、もう少し踏み込んで対話をしてみてください。
家庭というチーム全員でベネフィットを意識した考え方を持ち続けることで、日常の出来事が学びの場になりますし、子どもが自分自身の行動を家族の中で評価し、さらにその影響を考えられるようになることで、将来的に自立心のある子どもへと育っていきます。
家族全員がマーケティング思考を身に付けることで、ビジネスにおいても息をするようにベネフィットを考えられるようになり、収入も増え、より幸せな家庭を築くことができるでしょう。