こんにちは、服部(@marketing_factdeal)です。
人はなぜ悩むのか。
その根本的な理由は、自分が抱える問題や課題に対する「答えや正解がわからないから」ということに尽きます。
この答えの不確かさが不安や迷いを生み出し、ときには人を深い悩みに押し込めるわけです。
たとえば、進むべき道が見えずに立ち尽くしてしまう場面を想像してみてほしいんですが、多くの人はそこで立ち止まり、何とか出口を見つけようと必死に模索します。
で、その答えや正解を自分自身で見つけることができない場合、他者に頼る傾向が強まります。
そして、この「他者に委ねる」という心理が、宗教やカルト的なビジネス、いわゆる「ヤバいビジネス」にハマる要因となるんです。
他者に答えを委ねるリスク
人は、自分で悩みを解決する力を見失うと、外部からの答えを求めがちです。
こうした状況で登場するのが、明確で分かりやすい「あなたはこうすべきだ」「あなたはこうあるべきだ」といった指示や答えを与える存在です。
宗教的な指導者やカルトリーダー、自己啓発セミナーの講師、さらには巧みなビジネスマンたちが、こうした心理に付け込みやすい理由はここにあるんですね。
自分が抱える悩みや問題に対して、具体的な答えを提示されると、それが唯一の正解であるかのように感じられ、心の中で安定を求めて依存するようになるからです。
こうした依存状態に陥ると、自分で考え、選択する力を奪われ、常に外部の指示に従うようになってしまいます。
最終的には、思考停止の状態で、具体性のない解決策を提供するビジネスや組織に翻弄、搾取されることになるわけです。
教義やコンセプトが悩みと結びつく仕組み
そもそも教義やコンセプトというのは、人々の悩みと直接結びつくことはありません。
しかし、「あなたはこうすべきだ」「あなたはこうあるべきだ」といった最もらしい答えを提示されることで、悩みが教義やコンセプトと結びつきやすくなるんですね。
たとえば、「成功するためにはこうすべきだ」と言われたときに、シンプルで最もらしい解決策に飛びつく人は多いわけですが、これが心理的に悩みを「解決してもらった」、あるいは「解決策が見つかった」と錯覚させるトリックです。
この一見した「救いの答え」を与えられると、人々はそれを現実の行動に変えようとし、さらに深くその教義やビジネスに執着するようになるんですね。
この一連の流れが、悩みが「答えや正解」を経由して教義やコンセプトにつながる仕組みです。
マーケティング手法としての応用
こういった、いわゆる「マインドコントロール」の流れは、マーケティングの範疇であり、ビジネスで応用される例も少なくありません。
❶ 悩んで立ち止まっている人に
❷ 最もらしい答え(正解)を提示し
❸ 答え(正解)を実現する手法を提供する
という構図は、営業や販売の基本的な手法でもあるからです。
たとえば、ダイエット業界を考えてみると、「なぜ痩せられないのか」という悩みに対して、「この方法を試せば誰でも痩せられる」という最もらしい解決策が提示され、その手法を購入することで自らの悩みを解消しようとする心理に働きかけます。
このマーケティング手法はシンプルにして強力です。
なぜなら、人は悩みや苦しみから解放されることで安心を得たいわけなので、正しい方向で使用されれば、価値のあるサービスや商品を提供するための効果的な手法となるからです。
悪用の危険性とその理由
一方で、この手法を悪用することも容易なんですね。
特に「悩みを煽る」ことで人を不安に陥れ、インパクトの強い「答え」や最もらしい「正解」を提示し、依存させるケースがあります。
これが宗教的なセミナーや悪質なビジネスに見られるパターンです。
この「答え(正解)を与える」ことで人を支配するという構造は、心理的な弱みを突いたものであり、当然ですが、モラル的にも大きな問題があります。
悩んだり苦しんだりしている人を操り、再現性も価値もないものを、さも価値のあるかのように期待させ、長きに渡って搾取し続ける手段として利用されるリスクが大きいため、マーケティングを実践する際には注意が必要です。
倫理的なマーケティングへの応用
じゃぁ、この強力な手法をどのようにして倫理的に応用すべきなのかと言うと、それは人に「答えを与える」「正解を押し付ける」のではなく、世の中にある複数の選択肢を提示し、自らの判断で選ばせるアプローチがカギとなります。
そうすることで、お客さんが悩みに対する答えを自分で見つけるプロセスを支援し、選択肢を提供することにより、健全な依存関係を避けつつ信頼を築くことができるんですね。
長期的にお客さんとの関係を構築するためには、答えや正解、あるいは価値観を押し付けるのではなく、共に問題を解決する姿勢が必要だということです。
自分で決めて自分で正解にしていく
簡単なところでいくと「人はな生きるのか」というテーマに代表されるように、人は答えや正解を求めたがる生き物です。
特に、混沌とした時代おいては、何が正解か分からず、自分探しや答え探しに奔放する人は少なくありません。
が、その答えや正解を
自分の経験や行動によって見つけるのか
世の中に溢れている選択肢の中から選ぶのか
他者が提示するものに思考停止で飛びつくのか
によって、大きく人生が左右されます。
マーケティングやビジネスにおいても、悩みに寄り添いながら、倫理的な方法でサポートすることが重要なので、❷からスタートし、最終的に❶に導くというのが理想でしょう。
自分で決めた選択肢を、自分の手によって正解にしていくということですね。
悪用されれば危険な手法である一方、適切に活用すれば多くの人々の悩みを解決に導く力にもなるのが、今回話した「答えや正解を経由させて、お客さんの悩みと販売者のコンセプトをつなぎ、商品の購入に至ってもらう」というアプローチです。
人々の信頼を得ながら、共に未来をつくり上げていく姿勢こそが、持続可能なビジネスのカギなので、決して悪用しないようにしてください。