なぜか「人を動かす禁断の心理テクニック」みたいな本やnoteが、世間一般的にずっと売れ続けているわけですが、その理由としては「そんなものをいくら読んでも人を動かすようになれないから」に尽きます。
その本質に気づかず「この本を読めば今度こそ…」と青い鳥を探し求め続ける人がいなくならないからです。
ダイエット法で「好きなものを食べながら痩せられる!」「運動せずに痩ましょう!」みたいな“ぬるい”コンセプトが売れ続けるのと同じですね。
人間は基本的に「楽して得したい」生きものなので、とにかく苦労せずに人を思うように動かしたい、言うことを聞かせたいわけですし、その目的としては、そういったテクニックを使って
稼ぎたい
モテたい
というのが大半だと思います。
もちろん、中には仕事の人間関係や夫婦関係の改善に役立てたいという人もいるでしょう。
しかしそういった、いわゆる「人心掌握」系や「心理テクニック」系のコンテンツで学んでも、上手くいかないどころか、逆にイタイ人になってしまっている人はよく見かけます。
僕も最初はそうで、コピーライティングを学んでた頃は、今見返すと吐きそうなくらいイタイ文章を書いていました。
いわゆる「これ、情弱以外誰が読むの?」みたいなクソキモイ文章ですね。
まぁ、今でも決して文章を書くことが上手いわけではないですが、その頃に比べたら100万倍マシだと思います。
こういった「人を動かす」系の知識やテクニックは、それがどこでも誰にでも通用する武器だと勘違いして学び続けると、相当イタイ奴になりますし、そうなると人も離れていき誰も指摘してくれなくなります。
例えば、アムウェイやニュースキンといったMLMの勧誘がありますが、あれなんかは良い例ですよね。
あの勧誘の際のトーク内容って訓練されているものなので、だいたいみんな同じような内容を、同じような構成、同じようなトーンで喋るんですね。
なぜなら「従順でバカなヤツだけ引っかかれば良い」という前提でつくられているトークスクリプトだからです。
「今の仕事や給料に満足していますか?」
「そんなに魅力的で能力が高いのにもったいない」
「もっと能力を生かせる仕事をしませんか?」
といったようなテッパンの流れで、喫茶店やカフェに呼び出されて会員から勧誘を受けるという経験をしたことがある人も多いかと思います。
で「あんなのバカしか引っかからないでしょ」と思うのが普通だと思うんですが、そう思える人は「ウソ臭い共感や寄り添い」に違和感や嫌悪感を持つことができる至極真っ当な人なわけで。
普通の人は気づくんですよ。
最初は自分のライフスタイルに寄り添ってくれようとしていたはずが、良い商品があるという話にすり替わり、それを多くの人に広めることが地球を救うというような話になり、それを売りまくって役職が上がるととクレイジーに稼げるという話に変わっていく。
普通であれば「何だこの支離滅裂な話は?」となるんですが、まんまと乗せられて会員になってしまう人がいるから、こういったビジネスがまかり通っているわけです。
ネットワークビジネスの勧誘に乗らなかった人にとって、彼らのアプローチというのは不快でしかないわけですし、当然、それまで築かれていた人間関係も破壊されます。
これと同じことが「人を動かすテクニック」を学んで使おうとしている人にも言えるんですね。
楽して苦しみから逃れたい人や、楽して欲望を満たしたい、といった心の弱い人や頭の弱い人には通用するものの、そうではない人には通用しないどころか逆に嫌われるということです。
じゃぁ、学んでも全く意味ないのかというとそういうわけでもなく、むしろしっかりと学ぶべきだと思います。
ただ、そのまま学んでもダメで、今の時代に合わせて学び方を変えないと自滅して再起不能になります。
ということで、学び方を変えることで(ずらすことで)、過去の「人を動かす」系の教材を超役に立つ教材にする方法をお伝えします。
人を動かすことと人を支配することの違い
Twitterでも少し話をしたんですが、人は基本的には好きな人の言うことしか聞かないので、テクニックが正常に機能するとしたら、相手があなたのことを好きであることが前提となります。
好きと言うと抽象度の高い話になりますが、あなたのことを尊敬している、魅力的だと感じているといったことも含まれます。
そういった関係性がない状態でテクニックを駆使しても、ネットワークビジネスの勧誘と同様、相手からしたら不快でしかないわけです。
あるいは、関係性がない状態で相手がテクニックで動いてしまうとしたら、それは心が弱い人や頭が弱い人を「動かしている」というよりか「支配している」という方が正しいでしょう。
そもそもこの違いを理解していない人が多いんですね。
多くの人が、心理誘導術や人心掌握術を含むマインドコントロールや洗脳が、絶対的な武器であって誰にでも通用するものだと思っているんですね。
洗脳に関しては暴力的な要素が含まれるので、テクニックとしては論外として、マインドコントロールに関しては、本来、相手を正しい未来へと導くための優れたテクニックです。
わかりやすいところでいうと躾や教育がそうですね。
そこに暴力的な要素が入ってきたり、個人や組織の利益のために行われるものは洗脳になりますし、そういった悪いイメージを強く持っている人も多いかと思いますが、本来はそういうものです。
マインドコントロール自体には善悪はありませんからね。
マインドコントロールを包丁と例えると、美味しい料理を作るために使うこともできれば、人を傷つけるために使うこともできるということです。
まぁ、そういった諸刃の剣なので、使用には十分注意しなければならないんですが、これは相手にとってだけではなく、自分にとっても十分取り扱いが必要なんですね。
例えば、Twitterなんかでは「この人は私利私欲のために心理テクニック使ってるな」というのはすぐにバレるんですね。
ターゲットとしている相手にはバレなくても、いろんな人が監視の目を光らせているので「コイツ詐欺的なアプローチをしているな」とか「情弱ビジネスをしているな」とかバレされて炎上させられます。
やってはいけないテクニック集
じゃぁ、こういったマインドコントロールテクニックには手を触れない方が良いのかというと、そういうわけではありません。
今後も引き続き学ぶべき教材ではあります。
が、これからは学び方を大きく変えた(ずらした)方が良いんですね。
これまでも話したように、あからさまなマインドコントロールテクニックの使用は、相手によっては一瞬で嫌われますし、むしろ普通に賢い人には漏れなく嫌われます。
もっと言うと「これはこういった心理テクニックが使われている」といった情報はテレビやYouTube、書籍など、あらゆるところで暴露されているので、そのテクニックを使うこと自体が恥ずかしい行為である可能性がどんどん高まっていくんですね。
なので、今後
テクニックを知っているけどあえて使わない
大袈裟なくらいテクニックの使用を避ける
といった2つのアプローチをすることで、逆に意表を突くことができ、他の人と差別化できるということです。
ただ、これはテクニックを理解していなければできないことです。
なぜなら、どんな教材でも1つ2つは「あ、これ知らずにやってる(使ってる)」というものがあると思うんですが、そうなると「これはこういうときにこう使うと有効なテクニック」ということを理解していないと、あえて使わない、テクニックの使用を避けるという選択ができなくなるんですね。
知識がないと、自分の意思でテクニックの(使う/使わない)コントロールができないということです。
マインドコントロール系の教材は、やってはいけないことが詰まっているのということなので、そういった意味ではバイブルですね。
なぜ好きになってもらわなければならないのか
恋愛のテクニックで、引いた方が良いのか押した方が良いのかは、教材によって違います。
ただ「ケースバイケースです」では売れないので、基本的には「必ず押しましょう!」「引いたもん勝ちです」というふうに偏ったポジショントークによって書かれています。
ただ、実際はというとケースバイケースですよね。
これが「好きになってもらう」ことが前提であることの所以なんですが、こちらが相手を好きになり、相手に好きになってもらわないことには、ベストなテクニックの選択ができません。
マーケティングは相互理解だと度々言っていますが、まさにそれで。
一般的には「こうすれば上手くいく」と言われているテクニックでも、相手によっては「それをやったら終わり」ということもあるわけです。
絶対に避けなければならない、むしろ大袈裟なくらい避けた方が良い「一般的に良しとされているのテクニック」があるということです。
もちろん、ロジックに基づいて人を動かすことは可能ですしその方法論はいくらでもありますが、それはやはり「人の支配」であり、その関係性が良い状態かどうかは言うまでもありません。
そういった関係性の紡ぎ方は相互理解ではなく、ただの依存ですからね。
イタイ人から脱却するために
僕はそういった時代の流れを感じるようになってから、また、イタイ人を多く見るようになってから、情報発信にしても、セールスレターにしても、極力テクニックを省くようにしていっています(まだ名残りはありますが)。
といってもそんな大袈裟な話ではなく「伝えるべきことを、伝えるべき人に、誇張せずに伝える」をコツコツやっているだけです。
そうした方が、集客数自体は減少しますが、良いお客さんだけがたくさん集まってくれるようになるんですね。
それが今の僕のビジネススタイルの基盤になっていたりします。
もし「人を動かすテクニック」やマインドコントロールテクニックを学んでビジネスに生かそうと考えているのであれば、学ぶこと自体は推奨しますが、学び方や活用の仕方を工夫しないと自滅するので注意してください。