たまにはマーケティングについての話をガッツリと。
いや、普段話してることはも、多くの人が気づいていないだけでほぼ全てマーケティングに付随することなんですが、今日はもう少しわかりやすく。
僕は普段から「マーケティング視点」という言葉を多用しているんですが、そもそもマーケティング視点というのは何かという話をしていきます。
マーケティング視点というのは、シンプルに言うと「相手の気持ちを考えること」になるんですが、一言で「相手」といってビジネスにはいろいろな相手が存在するわけなので「お客さん目線になろう」という使い古されたテーマではなく、もっと細分化されたもの。
マーケターはどんな相手のどんな気持ち(目線)を考えて企画を作ったり、商品やサービスを生み出すお手伝いをしているのかについて、順番に解説していきます。
先に言っちゃうとこの4つです。
① 販売者目線
② お客さん目線
③ 関係者目線
④ プロデューサー目線
① 販売者目線
いわゆる「プロダクトアウト」的な目線になるわけですが、要するに自分的に良いと思うものや組織として良いと思うものを作って売ろうとする、かなり自己中な目線です。
ただ、これが必ずしも悪かと言うとそういうわけではないんですね。
これって逆を言えば「お客さんが良いと思っても自分が良いと思えなければ作りたくないし売りたくない」とも言えるので、商品のクオリティがとてつもなく高くなる可能性があります。
ストイックな陶芸家とか、限定〇〇食のラーメン屋の店長、希少な食物を扱う農家などをイメージするとわかりやすいと思うんですが、自己中だけど尋常じゃないこだわりがあるからこそ、お客さん目線を完全に無視しても商売が成り立つわけです。
ただ、この際に注意しなければならないことがあるんですが、何かわかりますかね?
もちろん、ニーズがなければ売れないんですが、ニーズを凌駕するものとして強烈なストーリーが必要になります。
というのも、お客さんは、職人の自己中なこだわりを理解することってほぼ不可能なので、自分のニーズをよく理解できていないまま「なんかスゴい」で商品購入に至ることになります。
なので、その「なんかスゴい」が伝わる、嘘偽りのないストーリー(プロセス)が必要になるんですね。
そしてもちろん、そのストーリーに裏付けされたハイクオリティな商品も。
まぁ、世の中には、ストーリーを盛りまくって一見スゴいものができあがったように見せかけて、実際の商品はどうしようもないゴミ…なんてパターンはクサるほどありますが。
この目線で商品を作る際は、狂気的に拘ってプロダクトし、そのストーリー(プロセスや想いを含めたコンセプト)を巧みに言語化する必要があるということですね。
② お客さん目線
これはよく聞くやつですね。
お客さんが買うときの目線(経済性、円滑性)と、実際に購入してから使用する際の目線(快楽性、実用性)です。
特に解説しなくてもわかると思いますが、経済性というのはコスパなど価格の妥当性のことで、円滑性というのは購入に至るまでのストレス(購入サイトのユーザビリティや店舗の利便性)がないかどうかなど。
そして快楽性というのは使いやすさやクオリティ、あるいは所持による優越感などで、実用性というのは機能や丈夫さ馴染みやすさなどです。
全てを兼ね備えることは難しいですが、できるだけ多くのニーズを満たして上げることでお客さんに定着し、買い替えの際にリピートにつながるなど良いことづくしです。
ただ、販売者目線と逆で、安易なお客さん目線というのはお客さんに合わせすぎてしまい、結果としてインパクトに欠けたり期待値を超える商品を生み出せなくなってしまったりします。
あと、接客などでありがちですが「お客さん目線」と言いながらいつしか「お客さんはこうであるに違いない」というズレた目線になっていったり。
こうなってしまうとヤバイので気をつけてください。
こだわりもないただの思い込み、かといってお客さん目線にもなれていないという最低最悪の商品が生み出されてしまうので。
③ 関係者目線
これはちょっとわかりにくいかもしれませんが、言ってしまえば販売者でも購入者でもないけど「何かしら関わってくれるかもしれない人」の目線です。
それは購入予備軍かもしれませんし、今の自分には必要ないけどそれを必要としている人の顔を思い浮かべて情報を拡散してくれる人かもしれません。
そういった人たちの目線を考えるということですね。
もちろん「この企画を打ち出すことで喜んでくれる人もいるけど、こういった人たちからは反感を食らうかもしれない」という、ネガティブな関係者のことを考えることも当然含まれます。
SNSでは、良くも悪くもガッツリ関わってくるのはそういう人たちだったりしますしね。
なので、そこを踏まえた上でコンセプトメイクをし、応援者よりも批判者の方が明らかに多くなるだろうなという場合はコンセプトを練り直した方が良いですし、逆であればGOしても良いとも考えられます。
意図せぬ炎上をしてしまう人は、販売者目線とお客さん目線については熟考していても、関係者や第三者がどのように反応するかを正しく想定できていないか、そもそも全く考えていません。
拡散性だけを優先しているとそうなります。
拡散性だけではなく、信頼性や継続性、次の企画への布石や導線なども見越して取り組むことがこの「関係者目線」だということですね。
販売者目線、お客さん目線を持った上で、じゃぁそのつながり(販売者 ⇄ お客さん)を作る際に、どうすればお客さん以外にも応援してもらえるか、批判が増えた場合はどのように修正をかけるのかといった準備を怠らずに。
④ プロデューサー目線
最後はなんとなくわかると思いますが、要するに「俯瞰の目」ですね。
今までの3つの視点を総合的に見るという意味も含まれますが、基本的にはまた別ものだと考えてください。
双連性的な目線とでも言いましょうか。
双連性というのは「一見何も関係がないような二つのものが関連していること」です。
例えば、「子育てとマーケティング」というワードがあったとして、子育ては「家庭での取り組み」、マーケティングは「ビジネスでの取り組み」を連想させるので、一見無関係のように見えます。
が、実は双方とも「相互理解」と言う根底の概念において密接に関係しているものであり、それぞれの知識やスキルが互いの欠点を補えるくらい奥深いものです。
なので、マネジメント的な目線というよりもクリエイティブな目線ですね。
これとこれをハイブリッドにしたら面白いんじゃないかとか、この業界にこの考え方を持ち込んだら面白いんじゃないかとか。
もちろん掛け算や足し算だけではなく「みんなこれを当たり前のようにやってるけどそもそもいらないんじゃないの?」というような引き算の場合もありますよね。
ちなみに、先ほど「総合的に見るという意味も含まれる」と言ったのは、自分目線で拘ってきたものが、ふとしたきっかけでお客さんのニーズに合致したり、逆にとことんお客さん目線を考えることで自分のこだわりを追求すべき場面に出くわしたりするからです。
ということで、最初は自己中な目線でもOKなんですが、そのテーマに関しては永遠に狂気的に情熱を注げるような自己中に限ります。
そしてその想いやプロセスを、言語や画像(映像)によって伝わりやすいストーリーにしてしっかり伝えれば、下手なお客さん目線よりも成果を出すことは可能です。
ただし、母数を広げたり、セカンド、サードと商品展開をしていくのであればお客さん目線は必ず導入しなければなりません。
その次に、モラルを維持しながら認知をアップするために関係者目線を持って反応を想定し、状況に合わせて修正をかけていきます。
で、可能であればプロデューサー目線をも持ち、お客さんや関係者が「え?」と思うような双連性を見つけ、他社と差別化するための努力をしましょう。
あなたは今どの目線でマーケティングをしているでしょうか?