どうも、服部です(ハットリって誰?)。
レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に、トップセールスマンが相手へペンを渡し、「オレにこのペンを売ってみろ」と言う有名な場面があります。営業や接客、販売に関わる人なら、一度は見たことがあるかもしれません。
この質問をされたとき、多くの人は「このペンは書きやすくて」「デザインが美しくて」と、ペンの良さを説明し始めます。ただ、本当に問われているのは商品知識ではなく、目の前の人をどれだけ見られるかなんですよね。
ペンの機能を説明した瞬間にズレる
そもそも、相手は今ペンを必要としているのか。どんな場面で使うのか。今使っているペンに、何か不満があるのか。
そこを何も知らないまま、書き味や機能を語っても、いいプレゼンにはなるかもしれませんが、いい営業にはなりません。相手が欲しいものを説明しているのではなく、自分が言いたいことを発表しているだけですからね。
映画の中では、ある男が相手に「このナプキンに名前を書いてくれ」と言い、書くためのペンがないという状況を作ります。これは、ペンの魅力を語るのではなく、相手がペンを必要とする状況を先に見せたわけです。
営業とマーケティングは相手を理解する仕事
営業とマーケティングは、別の仕事として語られがちです。営業は目の前のお客さんと話し、マーケティングは市場を調べ、集客やプロモーションの仕組みを作る。役割だけ見れば、たしかに違います。
ただ、根っこは同じです。
どちらも、相手が何に困り、何を欲しがり、どんな状態になれば嬉しいのかを理解し、そこに必要な価値を届ける仕事です。口が上手いかどうかより、相手の言葉と反応をどこまで拾えるかの方が、よっぽど重要なんですよね。
下記の記事でも書いたように、コンサルやマーケティングは、正しい答えを喋る前に、正しい問題を見つける必要があります。問題を間違えたまま全力で解決しても、速い速度でズレていくだけです。
営業は目の前で聴きマーケティングは売る前に聴く
営業は、目の前の相手と会話しながら聴きます。表情、言葉の温度、質問、迷い、あるいは沈黙まで含めて、その場で相手の状況を理解していきます。
一方のマーケティングは、商品を売る前に聴きます。既存のお客さんの会話、相談内容、申し込みをためらった理由、買った後に実感した価値などを拾い、誰に、何を、どう届けるかを設計します。
つまり、営業はリアルタイムで行う人間理解で、マーケティングは事前に行う人間理解です。方法とタイミングが違うだけで、見るべきものは人なんですよ。
ニーズを作るのではなく必要性を見つける
この映画のシーンは、書く必要がない場所に、その場で必要性を作っているようにも見えます。やり方だけ真似すれば、相手を困らせて商品を売る話になるので、それをセールスの模範解答とするのは雑すぎます。
本来やるべきなのは、相手の中にない欲求をでっち上げることではありません。本人がまだ上手く言葉にできていない困りごとや、既に困っているのに当たり前になっている不便を見つけ、自分の商品で解決できるかを考えることです。
必要なければ売らない。自分より適した人がいるなら紹介する。今は買わない方がいいなら、そう言う。
この判断ができないと、ニーズの発掘とニーズの捏造がごっちゃになります。売れれば正解なら、マーケティングではなく、単なる押し売りですからね。
下記の記事でも書いたように、深い関係は相手を囲い込んで作るものではありません。買わない自由、離れる自由がある中で、それでも何度も選び直してもらうために、目先の成約よりも信頼を優先します。
コンサルはペンより売りにくい
ペンは、見れば何に使うものか分かります。実際に持って書くこともできますし、重さや書き味も試せます。
でも、コンサルは中身が見えません。誰のどんな問題を、どう整理し、何をどこまで変えるのか。本人は分かっていても、外から見ている人には「結局、何をしてくれる人なのか」がほとんど伝わらないんですよね。
その状態で「実績があります」「寄り添います」「あなたの課題を解決します」と書いても、何も見えないままです。形のない商品を売っているのに、さらに抽象的な言葉を上塗りしたら、そりゃ伝わりません。
コンサルの中身をリールで公開する
僕がInstagramで出しているリールは、言ってみれば「公開コンサル」です。コンサルやミーティングの中で、相手の話をどう聴き、何を問題だと捉え、どんな判断をしているのか。その一部を短い動画で公開しています。
コンサルの価値は、肩書きや理論だけでは分かりません。実際に誰かの話を聴いたとき、どこで違和感を持つのか。相手が問題だと思っていることをそのまま信じるのか、もう一段奥の原因を見にいくのか。解決策を出して終わるのか、実行できる形まで落とすのか。
そこに、そのコンサルタントの人間理解と判断基準が出ます。
自分が「どんなコンサルをしているのか」を説明するのではなく、実際に見て判断してもらう。ペンの機能を並べるのではなく、書くところを見せる。これも、営業とマーケティングの共通点である「相手の理解から始める」という考え方の延長なんですよね。
売る力は営業トークの上手さではない
「オレにこのペンを売ってみろ」と言われたとき、試されているのは、とっさに上手いことを言えるかどうかではありません。相手にとっての必要性を考えられるか、そもそも売るべきかどうかを判断できるかです。
うまく営れば売れる、強く押せば契約が取れるというのは、古い上にダサいです。営業もマーケティングも、最後は人を理解する力で差がつきます。
売ることより、まず聴く。説明することより、まず見る。そして、自分の商品やサービスが本当に必要な相手にだけ、ちゃんと届ける。
これができれば、ペンでもコンサルでも、無理に売り込む必要はなくなります。























