ビジネスにおいては「仮説と検証」の繰り返しが重要だということは、言わずと知れた超基本的なことです。
この「仮説と検証」の精度を高めていくことで成功の確率も上がっていくわけですが、マーケティングやコンサルではこの精度を高めるための方法としてフレームワークがよく使われます。
SWOT、4P、3C、5Fといった分析のフレームワークですね。
フレームワークの解説をしたいわけではないので、ここでは割愛しますが、要は
いつそうなると考えられるのか?
どこでそうなると考えられるのか?
なぜそうなると考えられるのか?
などをより明確にするためのものだと考えていただければ。
まぁ、フレームワークを使わなくても、上記のような疑問を持てる人であれば「仮説と検証」を繰り返すことができるので、それができれば誰でもそこそこには成功できるんですけどね。
ただ、この仮説思考には罠がありまして。
多くの人が見落としているポイントが2つあるんですが、これを知らない人は「仮説と検証」の精度が上がらないどころか、大きな間違いを犯してしまう可能性もあります。
結果として、コツコツと試行錯誤を繰り返しているのに成果が出ないということになるわけですが、そのポイントという注意点は次の2つです。
① 仮説=センス
仮説というとイメージを膨らませることが大事なように思っている人も多いんですが、精度の高い仮説を立てるためにはセンスが必要です。
で、センスというのは直感や才能ということではなく、知識や知識化された経験、つまり蓄積されたデータから形成されるものであって、無から突然生み出されるものではありません。
自分が持っているデータから導き出される現時点での最高の解答が仮説だというわけです。
ここを理解していない人が多くて、下手をすれば見切り発車レベルの内容を仮説と言う人もいるくらいで。
そういう人は、やはりフレームワークを学んだ方が良いんですね。
ただ、そこまで複雑なフレームワークを考える必要もなくて、重要なのは前述した通り「知識化された経験」なので、そこにフォーカスします。
なぜそう思うのか
自分が経験したのか
他に経験した人はいるのか
どのくらいの割合の人が経験したのか
その後どうなっているのか
といった視点を基に仮説を立てるわけですが、特に最後の「その後どうなっているのか」を見落とさないようにしなければなりません。
なぜなら「その後」に関する情報、特にネガティブな情報というのはあまり公に出回らないからです。
なので、可能な限り他人の体験ではなく自分の体験をあてにしたほうが良いですし、経験が乏しいものに関しては、経験した人が「その後どうなっているのか」にフォーカスしなければなりません。
例えば、誰かのオンラインサロンに入ろうと思った時、レビューはすぐに見つかります。
が、ほとんどが「入って良かった」「楽しい」「すごい勉強になる」といったような感情的かつ短期的なもので、そこで継続したことによってどうなったかという情報はあまりに少ないんですね。
探せば見つかるようになってきてはいると思いますが、そもそもアンチ以外で「その後」の情報を探そうとする人があまりいません。
これは言ってしまえば、お金を払って学んでいるにもかかわらず「検証すらしないレベルの人しか集まっていない」という仮説を立てることができるわけですw
その後について語っている人がほとんどいないという「その後」だということですね。
仮説を立てる際は「きっとこうであろう」だけではなく、さらにそうだった場合「その後どうなっているのか」あるいは「その後どうなる可能性があるのか」までしっかり目を向けましょう。
② 検証+反証
もう一つは、矛盾するようですが「検証からの逆算」の話です。
これはけっこう仮説思考の大きな罠で、立てた仮説に対してしっかり検証はするんですが、単一方向の仮説を裏付けるための検証だけで終わってしまう人が多いということです。
おそらく何を言っているのかわからないですよねw
仮説を裏付けるための検証なわけですから、何も間違っていないと思われるかもしれませんが、実は欠落している要素があって。
それは「反証(仮説を覆すための検証)を視野に入れずに仮説を立ててしまう」ということです。
まぁ、信じたいことだけを信じるのが人間なので、この仮説思考を定着させることはなかなか難しいんですが「仮説と検証」の精度を高めるためには欠かせないポイントで。
パラドックスネタが好きな人、あるいはミルクボーイが好きな人はこういった考え方は得意だと思うんですが、多くの人が「反証を視野に入れる」ということを見落としがちなんですね。
例えば、かまいたちのコントで「ある生徒の給食費が無くなった犯人探し」があるんですが、これも仮説思考ですw
こういった場面でも、アヤシイ人物がいると「コイツが犯人かもしれない」という仮説を立てていくわけですが「犯人ではないかもしれない」という仮説はあまり立てられません(動画のストーリーは関係ありません)。
反証が丁寧に行われないことによって冤罪が起きるとも言われたりしますが、痴漢に対する駅員や警察の対応の再現VTRなどを見ても、仮説は犯人であることが前提で行われていることが多いですよね。
こういったことはビジネスでも起こり得ますし、そのほとんどが単一方向の仮説だけを立てている場合なので、真逆の仮説を立てることも忘れずに。
ということで、仮説は「きっとそうであろう」というスタンダードな視点だけではなく、そうだった場合「その後はどうなるのか」そして「そうではない場合は?」も考えるようにしましょう。
そうすることで「仮説と検証」の精度は高まっていき、致命的なミスを回避しつつ大きな成果を得ることができるようになります。