こんにちは、服部(@FACTDEAL)です。
レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』いうクレイジーな映画があるんですが、営業の素晴らしさと邪悪さの両面が楽しめる作品になっています。
営業や販売、接客、マーケティングの仕事に携わっている人は、観てみるといろんな気づきがあると思うのでぜひ。
例えば、セールスを学べる場面の一つのペンを売る有名なシーンがあるんですが、レオナルド・ディカプリオ扮するトップセールスマンが部下にセールスを教えるときに、1本のペンを渡してこう言います。
オレにこのペンを売ってみろ
そうすると、だいたいの人は「このペンは素晴らしくて…」とか「このペンの機能は…」という具合に、たどたどしいセールスを展開しようとします。
さてさて、あなたならどうやってこのペンを売りますか?というのが今回の話なんですが、この映画の中では、あるデキるセールスマンはペンを売りたい相手にこう言います。
「このナプキンに名前を書いてくれないか?」
この場面では、男が「ペンを手に入れなくてはならない必要性を瞬間的に生み出す」という模範解答を示して終わるわけですが、要は、次の取り引きのためにあなたの名前を知っておきたいけど、メモるものがないのでここに書いてくださいということですね。
で、書くものがなくて困っているのであればこのペンを買ってくださいと、そういう流れです。
ちなみに、この場面というのはディカプリオのアドリブから始まったシーンだそうで、模範解答をした役の人以外は知らなかったと言われていて、あのたどたどしさは急にセールの実演を振られたからこそのリアルな反応だったのなのかもしれません。
で、この「このナプキンに名前を書いてくれないか?」というのは、模範解答とはいえ、顧客の健在的なニーズに訴えかけるわけでもなく、ある意味無理やりニーズを生み出しているので少し詐欺に近い手法ではあります。
まぁ、とっさに売らなければならない場面においては、そういうテクニックも必要な場合もあるんでしょうけどね。
しかし、現代のビジネスにおいては「とっさに今すぐ何かを売らないといけない」という場面にはあまり遭遇しないので、そんな詐欺的なプローチは必要ありません。
つまり「ペンが欲しい人を探す」という準備をする時間が予め与えられていて、その準備こそがマーケティングであり営業との大きな違いなんですね。
ニーズの捏造か潜在ニーズの発掘か
この場面で学ぶべきマーケティングの視点というのは「ニーズの捏造」か「潜在ニーズの発掘」だと思うんですが、このライン引きというのは非常に難しいです。
どちらも「本人も気づいていないニーズにアプローチする」ということなので、善悪の区別がしにくいということですね。
判断できる可能性があるとしたら「欲しいかどうかではなく必要かどうか」ということになると思うんですが、必要ではなかったとしても手にしたら欲しくなるということも往々にしてあるのでそれもビミョーです。
例えば、iPhoneなんかはそもそも世の中の人が求めているものではなかったわけですが、世に出現したら「求めていたものはこれだったんだ」と言わんばかりの社会現象になりました。
これは、ある意味「潜在ニーズの発掘」であり、悪くいえば「ニーズの捏造」になります。
もうそうなってくると、ニーズを捏造しようが何しようが、結局のところモラルと商品のクオリティしかなくなりますよね。
そのためには、冒頭でもお伝えしたように「欲しいと思ってくれる人」を想定して事前にしっかりと準備をすると。
本来必要とされていないものでも、事前準備によってクオリティが担保できていて情弱をターゲットにしていなければ、とりあえず売ってみれば良いってことです。
セールスの前の準備とは何か
じゃぁ、準備というのは何かというと、それはもう「コンセプトメイク」と「プロモーション」に尽きます。
瞬間的な勝負である営業のテクニックとは全く別ものであり、事前の準備をすればするほど営業的なアプローチをする必要がなくなるということですね。
自分が売りたいものを売るとういうプロダクトアウト的なスタンスでは、ニーズの捏造とまではいかないにしても本来必要のないものでも欲しいと思わせる必要がありますし、逆にマーケットイン的なスタンスでは事前の準備さえしっかりできればセールスはサラッとで済みます。
まぁ、営業の一進一退の攻防というか、あの空気感がたまらないという人にとっては面倒くさいかもしれませんが、営業畑の人はDNA的にマーケティングスキルにも長けているので、コンセプトメイクやプロモーションがしっかりできるようになれば無敵だと思います。