コンサルに依頼する際のエビデンスとして「実績」は重要ですが、僕は今まで実績よりも将来性、ビジョンだということを主張してきました。
そして、これからの時代においてはその流れは顕著になっていきます。
今まで稼げていたから今後も稼げるという時代ではなくなったので、当然といえば当然ですが、それでもまだエピックにしがみついてビジョンを見せられていない人が多いんですよね。
過去の実績は参考データや事例にしかすぎません。
実際、僕がコンサルする際にはクライアントの会社やクライアント自身の将来性を見ます。
何を目指したいのか、どんな未来を想定しているのか、その未来にたどり着くだけのリソースはあるか、などを見た上でコンサルの依頼を受けるか受けないかを決めるんですね。
シビアかもしれませんが、将来性のないクライアント、ビジョンがないクライアントはお客さんから必要とされなくなりますし、そうなると低迷していき、コンサルフィーすら払えなくなるからです。
そんな人とコンサル契約を結んだところでお互い不幸になるだけで。
ビジネスは先生と生徒の関係ではなく、あくまで対等の取引であり、お互いにメリットを提供し続けられる関係性でなければならないですからね。
ビジネスの本質は、昔も今も未来もそんなに大きくは変わりません。
ただ、ビジネスの本質は変わらないとはいえ、あらゆる変化に順応していかなければ立ち行かなくなるわけですが、その際に求められる変化の1つが「実績よりも将来性」「エピックよりもビジョン」なんですね。
世の中がネガティブな情報に包まれているからこそ、明るい未来とその根拠を示せる人に多くの人が集まるんです。
ということで、今回はビジョンの作り方や伝え方について。
別に教祖になれという話ではないので、多くの人に刺さるビジョンでなくても良いですし、多くの人を明るい未来に連れていく必要はないんですね。
あらゆる人を幸せにすることは不可能なので。
なので「世界中の人を笑顔に」みたいなビジョンは必要なくて、むしろ一部の人にだけ刺さるビジョンでOKです。
ビジョンは狭く深く共有する時代に
これまでは「個の時代」、その次は「コミュニティの時代」と言われてきて、ビジョンもその流れに沿ったものが生成されてきました。
個の時代は「オレは〇〇になる!」からコミュニティ時代の「みんなで〇〇になろう!」に変化してきたわけですね。
で、これからどうなるのかというと「クローズドの時代」になるのは明らかなので、そうなると「あなたと一緒に〇〇をしたい!」というビジョンに変化していきます。
出る杭は打たれる社会がデフォルトであり、打たれるのを我慢したところで素晴らしい仲間やお客さんが集まってくることもないわけなので、不特定多数に発信するメリットがなくなってきていますからね。
限られた人にだけビジョンや情報を共有しようとなるのは当然のことで、SNSの仕様もその変化に順応していっているわけです。
リプライを非表示にしたり、リプライできる相手を制限したりといったTwitterの機能なんてまさにそうで。
なので、ビジョンの作り方としては
自分が成し遂げたい未来 × お客さんが潜在的に求めている未来 × 他者が羨む未来
の重なった部分で良いんですね。
① 自分が成し遂げたい未来
冒頭で「将来性」について話しましたが、将来性は何で判断するのかというと、1つは少しの実績で、もう1つは今の延長線上に成し遂げたい未来が見えるかどうかです。
自分自身はもちろん、お客さんからもそれが見えるかどうか。
それがちゃんと見えるのであれば、ぶっちゃけ過去の実績なんて塗り潰しちゃっても良いんですよ。
「過去にこんな成果を出したけど、正直言って充実度は低かった。ただ、今は考え方が変わって〜〜という方法で成果を出せている。この〜〜を追求することで〜〜という人たちと〜〜な未来にたどり着けるはずだ。」
みたいな感じですね。
今、この時代にこういう考え方や価値観を持っているから、きっと素晴らしい未来になるに違いない、というアプローチです。
エピックにしがみついていると、その延長線上にしかビジョンを描けず、ありきたりなものや新味感のないものになってしまうので、今、しかもアップデートされた今の自分の未来にあるビジョンを掲げましょう。
数字だけでは固くなってしまいますし、状態だけでは抽象度が高くなってしまうので、定量的、定性的、両面から在りたい姿を明確にすると良いです。
② お客さんが潜在的に求めている未来
ビジョンというのは共感性や憧れ性も大事なんですが、それ以上に気付きや刺激を与えるものでなくてはならないんですね。
そんな未来が作れたら確かに素敵だな
その考え方なら理想の未来が作れそう
そんな方法は今まで考えたこともなかった
といったようなことが気付きや刺激になります。
一般大衆向けのすでに顕在化されている欲求にアプローチするビジョンは、確かに多くの視線を集めますが、そこに集まる人は深く考えない、もっと言うと思考停止している層なのですぐに廃るんですね。
そういったビジョンは、自分の価値観と合致しているものではなく、誰かが作り上げた価値観に合わせにいっているだけなので、すぐに「なんか違うな」と気づきます。
なので、お客さんが求めているけど言語化できていないものや、まだモノクロのイメージのものを明確な言葉とカラーで見せてあげるということが大事なんですね。
そして、それに対するプロセス、つまり「ほら、これをこうすればこうなるでしょ?」というフローや仕組みを見せます。
それがビジョンのエビデンスを強めることになるので。
ちなみに、ビジョンへ向かうプロセスに関してはメルマガやオンサインサロンなど、クローズドな環境で伝えてもOKです。
刺激的なビジョンで求心し、そのプロセスを楽しんで取り組める人、情熱を持って取り組める人だけを選んで一緒に仕事をするというスクリーニングをしなければ、後々疲弊しますからね。
③ 他者が羨む未来
これは煽り的な意味ではなく「実現性がある」ことをアピールするということであり、これもある意味刺激を与える要素になります。
で、刺激を与えるためには突拍子もないビジョンを掲げなければならないように思われがちですが、実は逆なんですね。
というのも、ぶっ飛んだビジョンというのは嫉妬されませんし、下手をすれば共感もされないからです。
ただ、それが「がんばれば実現できそうなビジョン」になると、それを目指している人、あるいは同じようにそのビジョンに乗っかってがんばっている人のこと羨ましく思うんですね。
つまり、それは葛藤であり刺激になるということです。
自分には無理かな、でもチャレンジしてみたいなとグルグルしてもらうことが目的なんです。
ビジョンを掲げるときに①と②までは考える人が多いんですが、刺激の与え方やそのアプローチがずれてしまっている人は多いので「羨ましい ◀︎ なぜなら実現性があるから ◀︎ チャレンジしようと葛藤する ◀︎ 考えることが刺激になる」という視点を持っていてください。
ということで、過去の実績は全くムダだということではありませんが「今までのようにはいかない世の中」だということを実感、理解する人が増えれば増えるほど人の過去には求心力はなくなります。
この機会に新たなビジョンを掲げてみてどうでしょうか。
ブログやTwitterで発信し続けていると、得られる反応や集まってくる人の属性が徐々に変わっていくのを感じられると思いますよ。