集客の手段がSNSしかない人は、どうしても「強い言葉」「振り切った発信」に頼ってしまいがちなんですよね。
というか、そうせざるを得ないという実情もあります。
なぜなら、SNSだけで集客しようと思った場合、あくまでフローメディアなので刹那的な集客を続けるしかなくて、そうなると発信の切り口や発信者の存在そのものがありきたりになってしまって「飽きられたら終わり」だからです。
飽きられないため、つまり目立ち続けるためには発信にエッジを効かせなければならないわけですが、例えばTwitterでそれをしようと思うと140文字以内で注意を引かなければなりません。
で、140文字以内で人の注意を引こうと思うと、それこそ強い言葉や振り切った発信など、いわゆる「刺激」を提供するのが楽チンなんですよね。
ただ、人(フォロワー)は刺激に慣れます。
そうすると、発信者としてはもっと刺激を与えないとと思って発信内容がどんどんエスカレートしていき、そしてまたその刺激にも慣れられるので、さらにエスカレートして…と悪循環のスパイラルになるわけですね。
TwitterやYouTubeでは、発言や行動が日に日に過激になっていく人をよく見かけると思うんですが、それはまさにその状況で、承認欲求だけでは語れない闇があるんです。
闇堕ち手前までは経験しました
これは僕も経験済みなんですよね。
僕の場合はブログやメルマガもやっていて、そちらの方でも好き放題発信していたので、Twitterでも同じノリで発信していました。
というかそのつもりでした。
ただ、Twitterは反応やレスポンスがダイレクトなので、どこかで「刺激や批判を楽しみにしているフォロワーの期待に応えなければ」という思いがあったんでしょうね。
刺激やキャラ設定に重点を置いて発信を続けていたら、なかなかヤバい属性のフォロワーばかりが集まってしまいましたw
僕の場合は、あるタイミングで「あ、これはよろしくないな」と思ったのと、ブログやnote、メルマガというメインの発信媒体があったのでサクッとスタイルを切り替えることができました。
が、そういった自分のメディアを持っていない人は切り替えができないため、破滅への歩みをなかなか止められないんですよね。
誰とは言いませんが、常に特定の誰かを攻撃することでアンチヒーローみたいになってもてはやされ、そのアクセスを使って稼いでいる人はたくさんいるでしょう。
チャレンジして失敗した誰かを攻撃していれば「いいぞいいぞ!」と自分の正義を振りかざすことに飢えている人から反応はたくさんくるし、論理的なコンテンツ力も必要ないので、ぶっちゃけ集客するのが楽なんでね。
等身大の自分で生きるために
ただ、刺激的な発信が等身大なのかというと、おそらくほど遠いわけです。
なぜなら、普段からオフラインでずっと誰かを攻撃している人なんてまずいないですし、むしろ本当は人の役に立つこと、人を笑顔にするようなことがしたいと思って生きているのがまともな人間だからです。
まともの精神状態の人は、誰かを攻撃し、その人が失墜するのを見て、アンチ仲間と嘲笑してる自分を客観的に見て「カッコイイ」とは思わないじゃないですか。
もちろん、SNSオンリーで平和的にビジネスをしている人も一定数います。
ただ、SNSオンリーだと、集客や売上が低迷してくるとダークサイドに堕ちてしまう危険性を孕みますし、まともに運営をしていても余裕はなくなっていきます。
こういった状況に陥らないためにも、やはり言葉の強さやインパクトではなく、コンテンツの強さや有用性で求心するためのメディアを持っておく必要があるということですね。
ブランディングメディア(TwitterやInstagram)に加えて
コンテンツメディア(ブログやYouTube)
コンバージョンメディア(メルマガやLINE)
を持っておきましょうということですが、それはこちらでも書いた通りで。
それが結果として、SNSで余裕を持って等身大の発信ができるようになり、集まってくれるフォロワーさんも価値観の近い人だけになるんですね。
時代の流れ的に「何者かにならなければ生き残っていけない」という風潮が強くなってきていますが、ここまで話した通り、等身大の自分とかけ離れた「何者か」になりきったところで、すぐにメッキが剥がれて終わります。
マーケティングって自分の商品やサービスのことだけではなくて、この部分(価値観)をとことん考えることだと思います。
なぜ自分がその商品やサービスを売るべきなのか、という根底にある価値観でありストーリーですよね。
その価値観を発信し続けていれば、何者かは勝手に認知されていきますよ。 https://t.co/P8Z3PVfE2e
— ハットリシンヤ|マーケとカメラとイロイロ (@FACTDEAL) February 17, 2021
逆に、コンテンツを軸にした上で価値観やストーリーを淡々と語れる人のマーケティングは強いんですよね。
と、ここまでマーケティング的な話をしてきたわけですが、僕個人的にはSNS中心のビジネスの弊害はもっと大きなところにあると思っていて。
成長と変化の死
その弊害とは何かというと、SNSに依存していると「人間として、変化や成長がしにくくなる」ということです。
ここまで述べた通り、SNSで集客を続けようと思うと、特定の見込み客やクライアントからの期待ではなく、不特定多数の人から期待に応え続けなければならなくなります。
それはどういうことかというと、キャラクターやスタイル、ポジショニングを自分の価値観の変化や時代感に合わせて変えることが難しくなるということです。
一定の影響力を持っている人が主張を変えると「あのときと言っていることが違う」「約束を守れ」「あれはウソだったのか」と叩かれるんですよ。
良い例として「謝ったら死ぬ病」の人がいますが、そういった人は悪いと思っていないのではなく、謝ることによって今まで築き上げてきたものが崩れ落ちてファンが離れていくことを恐れているから、謝らないんじゃなくて謝れないんですね。
謝ったら今まで主張してきた価値観を否定することになり、ウソをつくことになり、ポジションを明け渡すことになる(と思い込んでいる)からです。
SNSに特化していると少なからずこういった状況に陥ってしまうわけですが、それはつまり、いろんな価値観を取り入れて自分をアップデートすることを無意識に拒否することでもあるということです。
インフルエンサーでもよく見かけますが、皮肉ですよね。
自己成長や自己変革を謳ったり推奨したりしている当の本人が、成長のチャンスを見事に失っているわけですから。
ツールやノウハウはマインドの上に
というように、インフルエンサーを目指さない人は、SNSマーケティングに依存することによって、マーケティング的な弊害だけではなく人格形成の部分においても弊害が出てきます。
独自のメディアを複数持つ目的は、ノウハウ的な側面に加えて、こういった様々なマインド的な弊害を排除するためでもあるということですね。
SNSを運用していて、型にハメたりパンチを効かせたりしてバズらせなければやっていけないのかなと漠然と不安を感じている人は、ぜひこの視点を持ってください。
Twitterはあくまでツールであり、ツイートテクニックやフォロワーの増やし方などはあくまでノウハウであり、ツールやノウハウはマインドや価値観の上に乗っかるものであるということはお忘れなく。