フロントエンド商品(以下FE)とバックエンド商品(以下BE)の考え方についての相談はよくあるんですが、どうも販売者目線の人が多いので少し補足をしておきます。
購入者側の目線や気持ち理解することで、さらに良いコンテンツが作れるようになると思うので、しっかりと押さえておいていただければ。
FEとBEというのはDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)のセオリーであり、世の中のあるゆるビジネスモデルに組み込まれています。
要するに、お試し商品としてFE商品を提供し、FEを気に入ってくれたお客さんや何かしらの成果を実感してくれたお客さんに、リピート商品としてさらに良いBE商品(大抵の場合FEよりも高額な商品)を提供すると。
ちなみに「FE ▶︎ 集客商品」「BE ▶︎ 利益商品」とも言いますね。
BEで利益が残るのであれば、FEは赤字でも良いという考え方で、FEに広告費や販促費をかけまくる企業も多いです。
FE商品を無料で販売することも広告費や販促費の一環という考え方ですね。
例えば、原価1,000円のFEを無料で100個配布し、手に取ってくれた人のうち10人が10,000円のBEを購入してくれればチャラになり、それ以降の購入は全て利益になるということです。
これをちゃんと考えていない人はFEで利益を出そう必死になるので、単価設定をミスってしまったり広告費をケチってしまったりして、本末転倒な結果になってしまうんですね。
なので、戦略の方向性としてBEを作る作らないは別として、FEとBEはセットで考えた方が良いわけです。
ザックリ表で表すとこんな感じです。
① 目的
まずこれは販売者の目的で、上記でも少し触れたようにFEは見込客を集客するのための商品で、BEは利益を出すための商品です。
なので、BEの売れ行きが安定すれば安定するほど、利益から逆算してFEの利益率を決めやすくなるんですね。
利益は出なくても良い、あるいは赤字でも良いというパターンも出てきますし、それが分かれば積極的に広告を出すことができたり、価格を無料にして多くの人の手に届けるという戦略も取れるわけです。
この流れやシステムができあがると、ビジネスにかなり安定感が出ます。
勝っている企業がさらに勝ち続ける、他と「違いをもたらす違い」というのはこういった部分にもあるわけですね。
個人も同じで、何も考えていない人はFEで出た利益を収入や設備投資に回し、マーケティングを熟知しているライバルに追い越されてジリ貧になっていきます。
ライバルはFE商品にガンガンお金をかけるわけですから、価格でも認知でもどんどん敵わなくなっていくのは当然です。
そうではなく、「BEでこれだけ利益が出ることがわかっているから、FEではこれだけお金をかけられる」という法則をできるだけ早く発見し
FEの販促にお金をかけて集客を増やす
BEの購入者を増やす(利益を増やす)
さらにFEの販促お金をまわして集客を強化する
という好循環を回していかなければならないんですね。
で、そこで浮いたお金を収入や設備投資に回すというのが安定したビジネスモデルの作り方です。
② 単価
BEを高額にする理由は、FE商購入者のうちBEを購入してくれるお客さんというのは必ず減るからです。
なので「FE ▶︎ BE」の移行率のデータを参考に「FEの購入者の10%がBEを購入してくれるから、BE商品の価格はこのくらいでも利益が出る」という感じでBEの単価を検討するというのもありです。
あるいは「BEでこれだけ利益が出るのであればFEは無料でも問題ないな」といったことも考えられます。
こういったことを念頭において、BEの単価、それ相応のクオリティ(質とボリューム)を用意しなければならないということですね。
もちろん、 FEに関する考え方も同じです。
いろんな業界のビジネスにおいて、えげつないボリューム(質は置いといて)の無料オファーとかがありますが、あれはBEで利益を回収する目処が明確についているのでできるんですね。
やはり無料のFEは最強です。
ただ、お客さんにしたいターゲット層にもよるので、最初からフリーライダーは排除して、質の良いお客さんだけを集めたい場合は、スクリーニングのために、安価でも良いので有料でFEを販売するのがベターです。
FEに「無料FE ▶︎ 有料FE」という流れを作るのもありですが、ブログやTwitterで価値のある情報発信ができていれば、それが何よりも魅力的な「無料FE」になるので、この流れはあまり考えなくても良いかなと。
導線は考えておいた方が良いですけどね。
ちなみに、オンラインサロンのようなサブスクリプションの場合は、単価自体が低くても継続性があるので、FEと同額、もしくは安価にするという戦略もありですが、継続可能性は不確実なので、一定のデータが見えるまではやめた方が良いです。
③ 欲求
これは度々言っている話なんですが「FE ▶︎ BE」の流れを作る際は、FE商品はニーズ商品、BE商品はウォンツ商品にするのがベストです。
詳しくはこの記事を読んでいただきたいのですが、単純にウォンツ商品でのターゲッティングや集客が難しいからなんですね。
なので、上記の記事でも書いてある通り
痛みや苦しみから逃れたい
購入衝動が強い
集客の難易度が低い
ターゲッティングの難易度が低い
価格競争に巻き込まれにくい
というニーズにフォーカスしたFE商品からスタートした方が良いと。
ただ、ニーズは解決したら基本的には欲求は消えるので、だからこそFEの延長線上にBEがあるように、最初に全体図を考えておく必要があるということです。
もちろん、FE購入者に対するリサーチによってBEは企画・開発していくわけですが、ニーズが解決した後にウォンツに展開していけるパターンはいくつか考えておくとコンテンツメイクがスムーズになります。
例えば、ダイエットに成功した人は苦しみ(ニーズ)からは開放されるわけなので、コンテンツとして「夏までに水着を着れる身体に!」といったFE商品を手に入れてダイエットに成功したらそれで終了です。
が、BEの可能性として、
南国で水着を着てインスタに上げたい ▶︎ 海外旅行に行きたい
という連想から、ベタですが「〇〇で旅行代を稼ぐ」というビジネス系のウォンツ系コンテンツに集約することもできるわけです。
FE購入者へのリサーチによってBEを企画・開発することと、BEを含む全体像をイメージしておくことは矛盾するかもしれませんが、基本的には両方大事な視点になります。
戦略というのはそういうことですし、仮説を立てておくことは戦略において重要ですからね。
④ 目的地
FEとBEの概念は、販売者のメリットやDRMのテクニックとして語られることが多いんですが、本来はお客さん目線に立った非常に親切なシステムです。
販売者にとっての集客商品というのは、お客さんにとっての「お試し商品」であり、お試し商品が気に入ったり、何かしらの成果を得られた場合のみお客さんはBEを購入してくれます。
しかし、最初から高額商品(BE)しかないと、お客さんはイチかバチかで購入するしかないわけで、それは非常に不親切ですよね。
お客さんが、本来必要のないBEを買わないためのクッション的な役割がFEにはあるということです。
で、Twitterでもフライングで少しつぶやいたんですが、コンサルタントの仕事は、クライアントを「行きたいところ」に連れて行くのではなく「行くべきところ」に連れて行くことなんですね。
ただ、「行くべきところ」は強制するわけにはいかないので、そのためにFE(行きたいところに行く方法)とBE(行くべきところに行く方法)があるわけです。
FEを購入したことで「行きたいところにたどり着けたからOK」という人にはそれで終了で良いし、信用してもらって「本来行くべきところに連れて行って欲しい」という人にはBEとして引き続きサポートをすると。
なので、FE購入者全員に、BEをゴリゴリセールスする、クロージングをするというのはNGで、そもそもBEというのは、FE商品購入者に「実はこういう商品もあるのでよければどうぞ」くらいの感じで購入に繋がるような魅力的な商品でなければならないんです。
もちろん、その際は「こういう人には向きません(必要ありません)」というスクリーニングも忘れないようにしてくださいね。
これはコンサルタントに限った話ではなく、コンテンツやその他の商品でも同じなので
FE ▶︎ 行きたいところに連れて行く商品
BE ▶︎ 行くべきところに連れて行く商品
という視点も持っていてください。
例えば
FE ▶︎ 行きたいところに連れて行く商品(コンテンツ)
BE ▶︎ 行くべきところに連れて行く商品(コンサル)
とイメージするとわかりやすいですかね。
⑤ 価格競争
FEだから、安いからという理由で手を抜かないようにしてください。
一昔前までは「お試し商品だから」という理由でファジーな商品をFEに持ってきても良かったんですが、今ではあらゆる商品やサービスの無料のレベルがめちゃくちゃ上がっているので、それではダメです。
FEとはいえ、度肝を抜くようなクオリティのものを提供できなければ、すぐにお客さんにそっぽ向かれます。
というか比較のテーブルに載せられてしまうんですね。
一方で、FEのクオリティが高いことで、お客さんは比較するというフェーズをすっ飛ばし、それはBEにもつながっていくので「この人の商品なら間違いない」と絶大な信頼を持ってBEを購入してくれます。
当たり前ですが、だからといってBEをサボって良いということでは全くありませんので、その辺は誤解のないよう。
FEで手を抜けば抜くほど、ただ消費されるだけでBEの購入にはつながらないということになるので、資金力や時間などの体力面において差別化ができないうちは、クオリティでしっかりと差別化し価格競争に巻き込まれないようにしましょう。
そうすることで、BEにおいても比較のテーブルに乗せられることはなくなるので、価格競争に巻き込まれることもなくなります。