本

ブランディング

ブランディングとポジショニングのための本の読み方

僕はマーケティングの仕事を生業にしているんですが、新いマーケティングの本は年に数冊くらいしか読みません。

それ以上読むとしても、大体過去に購入した本を読み返すくらいで。

理由は3つあるんですが、1つは新しい価値観や切り口を提供してくれるマーケティング本は年に1、2冊出れば良い方で、ほとんどの新書というのは過去のマーケティング本の焼き回しだからです。

マーケティング本に限らず、ビジネス書、自己啓発本もそうです。

結局『7つの習慣』など、レジェンドが書いたバイブル本の潮流でしかないので、エンタメや栄養ドリンク目的以外で読む意味がないんですね。
 

2つ目は、オリジナリティがなくなる、あるいは差別化ができなくなるから。

専門家として専門分野のことを学ぶことは大事ですし、学び続けることは大事なんですが、基本的なことは全て過去の書籍で提示されているので、あれこれ手を出すより、バイブル本を何度も読み返す方が良いんですね。

昨今のマーケティング本というのは、著者が基本のマーケティングを実践し成果が出たことを「私流」としてまとめているに過ぎないわけです。

全く新しいセオリーではなく、その人に取ってのセオリーなので、真似たところで二番煎じにしかならず、結果として市場での差別化が難しくなると。
 

3つ目は、僕らはマーケティング研究者でもなければ科学者ではないので、大量の情報を網羅したところであまり意味はなく、それよりもガンガン実践してなんぼなんですよね。

実践の中でしかマーケティングは学べません。

なので、一定以上は「マーケティングを机上で学ぶ」ことが無意味であり時間のムダだということです。

もちろん、全く読まないというのはダメです。

時代が変わるスピードは早いですし、押さえておくべき情報はありますし、それが簡潔にまとめあげられている本もあるので、アンテナは常に張っておくべきです。

ただ、これは必ずしも本である必要はなく、鮮度と信用性が高い情報収集源があれば何でも良いわけです。

また、過去の本を見返し「これは今に当てはめるとどうか」を考えて実践できるようにしておかなければなりません。
 

で、これから話すことが特に重要なんですが、したいブランディング、ポジショニングによって本の読み方は変えていかなければならないんですね。

時代に合わせて本の読み方を変えていかなければならないということなんですが、ポイントは3つです。

① ポイントを押さえて読む

これはやっている人は多いと思いますが、念のために一応解説しておくと、小説や漫画を読むわけではないので、本を最初から最後まで一文字も飛ばさずに読むのは時間のムダだということですね。

冒頭でもお伝えしましたが、ビジネス書、特にマーケティング本は実践するために読むものなので

❶ 読む
❷ 実践
❸ 検証

が基本です。

なので、気になる部分をピックアップして実践し、その部分の情報だけでは理解が及ばない場合は、付随する前後を読むというのがビジネス書の効率的な読み方です。

Twitterでよく見る「読了!」とか「で?」っていう話なんですよ。

こういう人は、サンクコストに縛られた非常にもったいないの本の読み方をしているので気をつけた方が良いです。

2000円のビジネス書を買ったとして、最初から最後まで隅々まで読み切ること、つまり読了することが「2000円をムダにしなかった」ということではありません。

小さくても良いので何かしらのリターン(成果)を得ることができて始めて、その本を買って読んだ価値があるということですね。

例えば、その本のレビューでも良いですし、自分のビジネスに置き換えてブログ記事を書くでも良いんですよ。

その記事がnoteで売れたり、それがきっかけとなって仕事が入ったりして始めてその本を買って読んだ、自己投資が成功したということなので、この現実から逃げないようにということですね。

もちろん、リターンの大きさやリターンを得るまでの期間は各々で設定すればOKです。

② ニーズに合わせて本を選ぶ

時間がある人は、好きな本を好きなだけ読めば良いと思うんですが、如何せん現代の僕らの時間を奪うものはたくさんあります。

スマホを持っていると常にTwitterやYouTubeに時間を奪われますし、あるいは子どもというカワイイモンスターが時間をムシャムシャと食い潰しますよねw

なので、なかなか「好きな本を好きなだけ読む」というわけにはいきません。

読書ができる時間は限られてくるので、あるていど読むべき本を厳選していかなければ1ヶ月で1冊も本を読んでないという状況にもなりかねません。

じゃぁ、どういった本を選べば良いのかということなんですが、これは「お客さんのニーズに合わせて本を選ぶ」に尽きます。

ビジネスをする上で、必要に駆られて本を読むということですね。

例えば、先日の記事でも紹介した本ですが、これなんかはまさにそうで、女性のクライアントが増えてきたので、女性のことをしっかりと理解するために僕は手に取ったわけです。

 

お客さんの属性、あるいは相談される内容に関して、手持ちのリソースでは対応しきれないなと感じたら、それは新しいインプットのタイミングだということですね。

もちろん、本でなくても良いです。

オンラインサロンで学ぶとか、講座を受けてみるとか、コンテンツを購入するとかも同じことです(騙されて搾取されないようにだけ気をつけてw)。

本来、本というのは読みたいと思ったものを読む、好奇心に従って楽しむものではありますが、時間がなかなか取れない場合は「お客さんのため」という視点で読む本を選ぶという視点も持っておきましょう。

③ 人間味を醸成するもの

前半で、専門分野のインプットばかりをしているとオリジナリティがなくなるという話をしましたが、これはどうブランディングしたいのか、ポジショニングしたいのかによります。

例えば「誰よりも詳しい人」、要するに「網羅性」を武器にしたい場合はとことん専門分野のインプットに特化するべきです。

もちろん、そこにニーズがあるのであればですが。

ただ、あらゆる情報がネットで手に入る世の中において、今後それだけで勝負するのは難しいんですよね。

弁護士ですら専門性や実績は最低限で、最終的には人柄やキャラで選ばれる時代ですから。

で、幅広い分野に触れておくというのは、広く浅く学んで知ったかぶりをする「ハッタリ戦略」ではなく、むしろ掛け合わせる材料を増やすことによって専門性にオリジナリティと深みを作るということなんですね。

例えば、あるノウハウに関して「AとはBです」というのと「AとはBです。例えば友達と…」と身近かつ具体的な例をいくつも交えられる人とでは説得力も違いますし、深みも変わってきますよね。

こういった付加情報を伝えようと思うと、専門分野だけを淡々とインプットしているだけでは無理で。

幅広い分野の情報に触れるということは、人間性やセンスを醸成するということでもあるということですね。

そのために僕はマーケティングのインプットはそこそこに、かなり雑食的に本を読みます。

もちろん、本を読むだけではなく、アートに触れたり映画を見たり旅行にいったりといったこともそうです。

本は人生を変えます。

そして、読み方次第ではそのチャンスが倍増するので、ぜひ目的に合わせた自分なりの読み方を模索してみてください。
 

PS

なぜ、過去のバイブル本(全てが良書というわけではない)を繰り返し読むべきなのかについて、多くの人が読んでいるであろうベストセラー本を例に出して余談を少し。

例えば、大ベストセラーになった『嫌われる勇気』ですら『7つの習慣』を読んでおけばわざわざ読む必要はないんですね。

 
課題の分離にしても『7つの習慣』で示されている、影響の輪と関心の輪の方が実用的ですし応用範囲も広いですからね。

フロイトを「敵」に設定することでキャッチーになったりと、コピーライティング的なテクニックが使われているので、そういった視点で読むと学びもありますが。

 
また「嫌われる勇気」というタイトル通り、人間関係に関する啓蒙書のように見せていますが、実際、人間関係については根底には残しながらも一部でしかありません。

その人間関係についても「自分のできることだけに意識を向け、他人の反応はその人の問題なので気にするな」といった「課題の分離」という考え方を打ち出していますが、ちょっと雑なんですよね。

これだと、自己満足に浸る頭お花畑の人や単なる嫌われ者になって終わり、という人が出ても仕方なく、それについてのフォローも抽象的で。

もちろん、他人に気を使ってばかりの超いい人にとっては気が楽になる効果はあると思いますが。

まぁ『7つの習慣』もアドラー哲学の影響下にあるはずなので、この本自体を否定するつもりはないんですが、僕のように「幸せになるためには」系の啓発情報を必要としていない人にとっては不要かなと。

否定というよりも二書を比較したときに、人間関係を含めて、ビジネスや人生の目標を達成するための攻略本として『7つの習慣』の方が優れているという話ですね。

そもそも、自己啓発書が多様化かつ洗練されている中、あえて昔の説を引っ張り出してくるというのは出版社側の仕掛けに過ぎません。

基となるバイブル本を読み込んだ上で「この本の源流は?」という視点で本を選べるようになるとさらにムダが減りますし、良書だけをゲットできるようになります。



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