こんにちは、服部(@FACTDEAL)です。
ユヴァル・ノア・ハラリ氏(サピエンス全史)とジャック・アタリ氏(経済学者)がインタビューに答えていたのをテレビでたまたま見まして。
それぞれが主張することは以下の通り。
人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している。
これはインタビューの内容とほぼ同じ内容が書かれている記事を見つけたので、そこからの引用です。
加えてユヴァル・ノア・ハラリ氏はこう締め括っています。
今回の危機の現段階では、決定的な戦いは人類そのものの中で起こる。もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。人間どうしが争えば、ウイルスは倍増する。対照的に、もしこの大流行からより緊密な国際協力が生じれば、それは新型コロナウイルスに対する勝利だけではなく、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利ともなることだろう。
言ってしまえば、科学者の言うことを信頼し、影響力のある人間はそれらの情報を積極的にシェアし、その情報を元に正しい知識や対策を持って皆で協力し合いましょうということです。
そうすればコロナウイルスに打ち勝てるし、今後来る第二波や第三波、あるいは他の驚異とも戦って勝つことができるろうと。
一方、ジャック・アタリ氏の記事は見つからなかったんですが、僕が最も印象に残った概念というか思想がこれです。
利他主義こそコロナウイルスに打ち勝つために必要な意識です。利他主義というのは他人が助かれば自分の利益はどうでも良いということではなく、利他主義というのは最も合理的な利己主義に他なりません。他人のために行動することで最終的に自分の利益につながるという極めて合理的かつ自己中心的な考え方なのです。感染させまいと他人を守ろうとすることで、結果として自分への感染を防ぐことができます。そうすると収束も早まり、経済も動き出し、自分の利益も取り戻すことになるのです。
記憶を頼りに書き起こしたので、ニュアンスは微妙に違うかもしれませんが、大まかには間違っていないと思います。
コロナウイルスの問題が深刻になり始めた頃から、マスクの転売や日用品の買い占めなど、利己的で自己中心的な行動をする人が目立ったわけですが、これは真逆の考え方であり間違ったアクションだということですね。
本来、自分以外の人たちがマスクをしてくれることによって自分への感染を防ぐことができるようになるわけですし、マスクの使用用途としても「伝染らないようにする」ではなく「伝染さないようにする」であるはずが、なぜか感染から身を守るアイテムとなってしまいました。
これって、利他主義の皆無だけではなくユヴァル・ノア・ハラリ氏が言う科学的な知識を得ようとしていないということにもつながりますよね。
科学に目を向けないし、自分さえ良ければいいという最悪のパターンであり、それは結果として自分自身を苦しめることになるということです。
小さな戦争が大きな戦争になる
マスクを手に入れられなかった人が感染したり精神的に不安定になる人が増えていくと、治安が悪くなっていき、世の中が危険になっていくのは容易に想像がつくわけですが、それでも利己主義に走る人は絶えません。
情報の隠蔽やマスクの輸出制限、価格の釣り上げなどをし、世界の救世主的な主張をしている中国に対して批判が集まっていますが、国単位でそういったことが起こると戦争になりかねませんよね。
政治的なことに関しては言及するつもりはありませんが、ウイルスよりも人間が怖いなと思わざるを得ないことが起こっています。
それはTwitterを見ていてもよく分かりますよね。
コロナウイルスの情報を利用して、炎上、煽りで自分の利益に誘導しようとする人たちがいたり、ポジショニングをしようとする人たちがいたり。
医療従事者や清掃員、介護従事者など、絶対的に必要な仕事を担っている人たちに対して、リモートワークができないことをコスパが悪いと揶揄したり、今すぐやめるべきだと退職を煽って「ネットで稼ぐ」という自分の商売に引き込もうとしたり。
お金のためだけに働いているならみんなとっくに逃げ出してますよっていう話で。
飲食店に関しても「強制じゃないでしょ?うちは通常通り営業続けますよ。」というオーナーもいれば「早く収束して欲しいので、うちはマスクの製作と販売を始めました。売れ行きも好調です♪」というオーナーもいます。
利他主義、つまり世の中やスタッフ、お客さんのことを考えつつピンチをチャンスに変えようとしてるのはどちらかは言うまでもなく。
小さな憎悪が増幅して国を飲み込んでしまわないように、再度下記の内容を胸に刻んでおきたいですね。
もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。人間どうしが争えば、ウイルスは倍増する。
科学の理解と利他主義の本質
三密を避けることやSTAY HOMEがスタンダードになっていますが、なぜそれをする必要があるのかを裏付けるのが科学でありモチベーションが利他主義の本質の理解だと思います。
が、残念ながらこういったことはメディアでは語られません。
だから多くの人は、国が言っているから、首相が言っているから、知事が言ってるから、インフルエンサーが言っているから、みんながやっているから、で行動しがちです。
結果として自粛が上手くいっている部分もありますが、それは同時に悪状況になったときも思考停止で情報に踊らされるということでもありますよね。
そうならないためにも
科学の理解
利他主義の本質
はマインドセットしておくべきではないでしょうか。
まぁ、マーケティングを学んでいる人は「科学 × 心理学」、そして「人の気持ちを考える」というのは当然のように身についている概念だと思うので、リマインドしておいていただければ。
これからのビジネスやマーケティングは
心理学よりも科学
自分が勝つことより相手を勝たせること
にますますシフトしていくと思うので。