先日、お客さん(Mさんと呼びます)と子育てについて話をしていたんですが、内容的に大人にも当てはまることですし、もっと言えばビジネスにも当てはまることなのでそれについて少し。
Mさんの娘さんは絵が得意で夢中になっているらしいんですが、ある日Mさんのお母さん(要はおばあちゃん)に「絵なんかじゃ稼げないんだから…」とその娘さんは言われたんですって。
Mさんは「そんなことは言わないで!」とすぐにクレームを入れたみたいなんですが、まぁ親としては当然ですよね。
せっかく子どもが夢中になっていることや才能を開花させていることがあるのに、そんなことを言われたら腹が立ちますし悲しくなります。
好きなことや夢中になれることなんて簡単に見つかるわけじゃないのに、せっかくそれが見つかって夢中になってメキメキ上達している様子を見ていたら、なおさら「夢を奪うようなことを言うなよ!」となります。
子どもの気持ちや好奇心、夢を守るために、面と向かって意見を言えるというのは素晴らしいことです。
それすらしない親もいるでしょうし、なんだったら自分が経験ないことやわからない世界というだけで「それでは食べていけないからやめとけ」と親自身が言う場合も多いと思いますしね。
僕も自分の親であっても相手の親であっても、「いや、あんた何言ってんの?」と同じような対応をします。
ただ、僕はそれだけでは終わらないんですね。
Mさんにも「僕ならこうします」ということを伝えたんですが、やっぱり意外だったみたいで。
マーケティングやコンサルティングに携わっていなかったらそういうアクションを取ろうと思わないのかも知れません。
でも、これは人を成長させる上でめちゃくちゃ大事なことだと思うので、子育てをしている人だけではなく、コンサルをしている人はぜひ覚えておいていただければなと思います。
子どもにも問いかける
ということで、自分の子どもが同じような状況になっていたら、僕も親に「そういうこと言うのはやめてくれ」と言いますが、それだけではなく子どもにこう言います。
例えば息子が、音楽を好きになって楽器を弾いていたとして、僕や妻の両親に「それで稼ぐのは無理だよ」というようなことを息子が言われて「稼げないって言われたよ〜」とショック混じりで僕に話してきたら
なんで稼げないと思うの?
と聞きます。
そう言うとおそらく「おばあちゃん(おじいちゃん)がそう言ってたから」と言うと思うんですが、「じゃぁ、おばあちゃん(おじいちゃん)は音楽で稼ごうと思ってがんばったのかな?」とさらに聞きます。
これ、どういう効果があるのかと言うと、3つの効果があるんですね。
① 結果を他人のせいにしなくなる
自分が好きなことややりたいことを「誰々にそう言われたからやめる」とか逆に「誰々にそう言われたからやる」とか、完全に思考停止ですし根底のマインドが「他責」です。
大人でもそういう人はけっこういますよね。
要は「何を言っているか」ではなく「誰が言っているか」で思考停止でその通りにしちゃう人で、そういう人は上手くいかなかった時に「あの人が〇〇と言ったからやめた(やった)のに」と人のせいにします。
逆に、なぜそれをやめるのか、なぜそれをやるのかを自分で考えて自分で選ぶということは「自責」ですし、こういった習慣がつくと他人のせいにするという概念がなくなります。
これから自分の生きる道を自分で切り開いていく子どもには、できるだけ早い段階でこの思考を持っていてほしいんですね。
そうじゃないと、常に誰かの意見に流され、誰かに言われて行動し、失敗や後悔の度に人のせいにするという「超依存型人間」になってしまいます。
コンサルでもこういった人をクライアントにすると大変じゃないですか。
② リサーチをするようになる
自分で考えて自分が納得する選択肢をチョイスしようと思うと、自分で調べようとしたり、それでもわからないことは質問しようとします。
小さい子どもの場合は、ググるとかはできないと思うので、一緒にリサーチを掘り下げていくと良いでしょう。
親:なぜ音楽で稼げないと思うの?
子:だっておばあちゃんがそう言ったから
親:おばあちゃんは音楽やってたの?
子:知らない
親:じゃぁ聞いてみたら良いんじゃない?
子:うん、聞いてみる
親:どうだった?
子:音楽やってなかったみたい
親:じゃぁ稼げないかどうかわからないよね
子:うん
親:世の中に音楽で稼いでる人っていないのかな?
子:〇〇さんは稼いでると思う
親:なんでそう思うの?
子:テレビに出たりライブをしたりしてるから
親:テレビに出たりライブをしたら稼げるのかな?
子:うん
親:なんで稼げると思うの?
子:わからない
親:よし、一緒に調べてみよっか
子:うん
親:それ以外に稼ぐ方法ってないのかな?
子:うーん…
親:よし、じゃぁそれも調べてみよっか
一例ですが、これだけ考えるだけでも子どもは凄い頭を使うし、いろんな新しい発見があると思うんですよ。
で、一緒に調べていくと音楽で稼ぐと言ってもいろんな方法があることにも気づけます。
有名人になる
スタジオミュージシャンになる
作曲家になる
音楽系YouTuberになる
音楽の先生になる
などなど、さらにYouTuberの存在を知れば、その中にもいろんなジャンルがあることを知ることにもなります。
そうやって、子どもの可能性をさらに広げてあげることができますし、自分で考えて自分で調べて自分で行動するという、人間らしく成長していってくれるようにもなるんですね。
ビジネスをする場合は、こういったことを自分で掘り下げていくと思うんですが、こういう思考の習慣がない人も多いので、そういう場合はコンサルタントが掘り下げていってあげます。
最初は抽象度の高いリサーチでも良いので「WHY」を掘り下げていき、限界がきたらツールなどを使って具体的なリサーチに切り替えていくという流れですね。
③ 最高と最悪を考えるようになる
リサーチしていく上で大事なポイントがありまして、それは「臭いものに蓋をしない」ということです。
ちゃんと「稼げないパターン」も教えてあげる、つまり良い話ばかりをするのではなくネガティブなこともしっかりと伝えるということですね。
これ、子ども相手だとこれやってしまいがちなんです。
WHYの掘り下げの目的は、とにかく背中を押すことや良いイメージだけを伝えることではないですし、そもそもそれをやってしまうと偏るので「稼げないよ」と伝えるのと無責任さが変わらなくなります。
つまり「良いよ良いよ、好きなことだけ好きなだけやりなさい」ではダメなわけです。
良いことばかりを伝えて頭お花畑で育ってしまってもダメですし、逆に恐怖を煽って行動力を奪ってしまうのもダメだということですね。
常に両面、上手くいくとこんなに良いことがあるけど、でもこういうリスクもあるからそれも踏まえた上でがんばろう」ということを伝えると。
マーケティングでいう
最高の未来
最悪の未来
をちゃんと伝えましょうということですね。
で、上手くいかなかったときや失敗した時のために「これもやっておいた方が良いよ」というリスクヘッジも教えておくと。
ビジネスも全く同じです。
キラキラした言葉やキレイゴトだけで集客している人がいて、それに尻尾を振ってついていく人がいたり、逆に辛辣な情報に足がすくんでしまう人がいたりするわけですが、本質はそこではないですからね。
物事には光と影、裏と表があるわけなので、常に「最高の未来」と「最悪の未来」という両輪を考えて進めなければなりません。
まずは親である自分ができているか
子どもに対してこういった思考でアプローチすること自体は難しいことではありません。
自分で考えて答えを出させることで自責マインドを持たせ
適切な答えを選択するためにリサーチするクセを付けさせ
その際に良い面と悪い面の両方に目を向けるようにさせる
というだけの話なので。
ただ、常にこのようなコミュニケーションを取ろうと思うと、親である自分がこういう考えを持って行動できていなければなりません。
子どもは、自分を親として人間として成長させてくれとよく言いますが、この機会に自分は自分に対して成長できるような向き合い方ができているかどうか確認してみてください。
イマイチだったという人は、これから子どもと一緒に成長できていければ最高ですね。
コンサルやコミュニティでもこういった話ができたら最高だと思いますし、僕もマーケ視点やコンサル思考をこんな感じで子育てに落とし込んでいけたらなと思っています。